愛あるセレクトをしたいママのみかた

【どちらを観る?】愛か自由か? 松ケン『カムイ外伝』VS小栗旬『TAJOMARU』

cinemacafe.net
【どちらを観る?】愛か自由か? 松ケン『カムイ外伝』VS小栗旬『TAJOMARU』

(Photo:cinemacafe.net)

いま、時代劇映画のヒーローに熱い視線が注がれている。日本映画界を牽引する若手実力派、松山ケンイチと小栗旬がそれぞれ主演を張る『カムイ外伝』と『TAJOMARU』だ。

伝説のコミックと言われる白土三平の漫画が原作の『カムイ外伝』は、忍者の掟を破り組織から追われる抜け忍の“カムイ”が、追忍に執拗に追われながらもたった独りで生き抜く姿を描いたアクション・エンターテイメント。「カムイ役はこの男しかいない」という崔洋一監督のラブ・コールに、松山ケンイチは「日本人に生まれたからにはできるだけ時代劇に出たい」と応え、初めて激しいアクションに挑んだ。日本の忍者の存在は世界中でも広く知られ、数多くの漫画、アニメ、実写で描かれてきたキャラクターではあるが、この『カムイ外伝』がこれまで描かれてきた忍者と一線を画するのは、リアルな忍者であること。人並み外れた身体能力や必殺技を持っているものの、リアルさからかけ離れていないからこその面白さがある。

それを成し得たのは『血と骨』や『クイール』で知られる崔監督の演出と宮藤官九郎による脚本の力も大きい。ただ、ドラマティックなストーリーを期待して間違いないこの2人がタッグを組んでいるだけに、VFX(視覚効果)があと一歩という欠点が浮き彫りに…。
が、そこは大目に見て、非の打ち所のない松山ケンイチの忍者を堪能してほしい。

生きることとは何かを深く追求した『カムイ外伝』に対して、『TAJOMARU』は愛のためにすべてを懸けた男の物語だ。『クローズ ZERO』で男も惚れる男としてその存在感を焼き付けた小栗旬が、今回は愛する女性のために地位も名誉も名前も捨て命を懸ける男・多襄丸を熱く演じている。

多襄丸とは黒澤明監督作『羅生門』の原作として知られる芥川龍之介の短編小説「藪の中」に登場する人物で、本作は多襄丸を主役に据えた完全オリジナル・ストーリーとなっている。何不自由ない家柄に生まれた男が大盗賊・多襄丸として生きることを選ぶのだが、その背景には、血肉を分けた兄、弟のようにかわいがってきた家臣、そして心底愛した女性の裏切りがあった…。その不幸度とどんでん返しは上質なメロドラマといったところ。というわけで、小栗旬は泣いて泣いて泣きまくり!自他共に認める役者馬鹿ゆえに、感情高ぶる泣きのシーンごとに女性は多㐮丸に惚れること必至。また、監督が中野裕之という点では、映像美やロック感も見どころだ。
男性的にはもう少しアクション・シーンがあった方が…という懸念がなきにしもあらずだが、最終的に小栗旬の名演技にノックアウトされるので安心を。

自由を求めた男・カムイと、愛を求めた男・多襄丸。あなたが今求めているヒーローはどっち?

(text:Rie Shintani)

■関連作品:
カムイ外伝 2009年9月19日より丸の内ピカデリー2ほか全国にて公開
© 2009「カムイ外伝」製作委員会TAJOMARU 2009年9月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開
© 2009「TAJOMARU」製作委員会

■関連記事:
松山ケンイチ『カムイ外伝』インタビュー 孤高のヒーロー誕生の陰にあった挫折、恐怖
『TAJOMARU』小栗旬「女の人の気持ち?一生わかんないと思うな…(笑)」
「何があってもおれがお前を幸せにする!」小栗旬『TAJOMARU』本編映像が到着
ショーケン、東大で復活の怪気炎!“東大特別講師”小栗旬が考えるリーダー像とは?
ファッション小噺vol.112日本女優の美肌のヒミツはこれだった!

提供:

cinemacafe.net

この記事のキーワード