ハリソン・フォード『正義のゆくえ』インタビュー 67歳の挑戦者が開いた新たな道
(Photo:cinemacafe.net)
密入国者や不法労働者の捜査を職務とするマックス・ブローガンという男について、ハリソンはこう説明する。
「彼は、ちょっとくたびれた感じの男というのかな。プライベートでは離婚を経験して、さらに一人娘との関係も疎遠になっている。仕事の上でも、昔気質でルールよりも感情で動いてしまうところがあって、新米刑事や同僚とぶつかることも多い。
自分の周りの人たちと、どうにもうまくなじめなくなっているんだ」。
正義感が強く、移民に対し同情的なマックスの視点を通して、アメリカが抱える移民問題、人種問題を鋭く描き出す本作。ハリソンは「アメリカの移民問題に関して、私たちは狭い考え方で捉えがちだ。だが実際は、いくつもの国と様々な人種が絡んだ複雑な問題なんだ」と広い視点でこの問題を考えることを提起する。
本作は、決して潤沢な資金に支えられて製作されたわけではない。撮影チームの指揮を執ったウェイン・クラマー監督について、ハリソンの評価は?
「ウェインは非常に明確な映像プランの持ち主だね。あらかじめ全シーンの絵コンテを用意しているんだ。あそこまで綿密なプランを持った監督には、いままで出会ったことがないよ。
ただそれだけじゃなくて、撮影現場では周囲の意見を聞く余裕をちゃんと持ち合わせている。一緒に仕事をする上で、本当にありがたい存在だ」と20以上も歳の離れた新鋭監督に最大限の称賛を贈る。
そして、自身の代表作『インディ・ジョーンズ』を引き合いに出しながら、この作品に出演した喜びを素直にこう表現する。
「『正義のゆくえ』と『インディ・ジョーンズ』シリーズほど、かけ離れた作品はないよ。全く異なるタイプの作品に出演して、自分が演じる役にいままでとは違う新たな可能性を得ることができたのは、素晴らしいことだと思う。客層の幅も広がるしね。俳優として様々な役を演じることができるのは最大の喜びだし、そんな機会を与えてもらったことに、感謝の気持ちでいっぱいだよ」。
どんなに稼いでも、どんなに名声を得ても、今年で67歳を迎えようとも、この男の挑戦は終わらない。
ハン・ソロ(『スター・ウォーズ』シリーズ)やインディを演じた頃と同じ瞳で彼は走り続ける――。
■関連作品:
正義のゆくえI.C.E.特別捜査官 2009年9月19日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開
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