『WAVES/ウェイブス』に込められた、フランク・オーシャンへの熱烈な想い
《text:宇野維正》
2010年のデヴィッド・フィンチャー監督作『ソーシャル・ネットワーク』以降、手がける作品の数は限定されているものの、旋律ではなくサウンドのアトモスフィアとテクスチャーとヘヴィさに重きを置いたその先鋭的な音作りで映画音楽界をリードし続けているトレント・レズナー&アッティカス・ロスによるスコア。テーム・インパラやアニマル・コレクティヴから、ケンドリック・ラマーやカニエ・ウェストまで、インディーミュージックとラップミュージックを横断した「Pitchfork」(アメリカの有力音楽ウェブメディア)的とも言えるジャーナリスティックな選曲。『WAVES/ウェイブス』を音楽で語る切り口はいくつもあるが、まずは何はともあれ、「これはフランク・オーシャンの熱狂的なファンの作った映画である」ということを指摘すべきだろう。
実は“プレイリスト”を作成できない、その理由
作中で使用されているフランク・オーシャンの楽曲は、「Mitsubishi Sony」「Rushes」「Sideways」「Florida」「Rushes(Bass Guitar Layer)」「Seigfried」