2020年8月16日 17:00
ラストベルト出身監督、スケボー仲間とオスカーへ『行き止まりの世界に生まれて』
この場所で、ビン監督の母は暴力を振るう男と結婚し、彼もまた義父から言われのない暴力を受けることになった。やがてビン監督はスケートを始めたことで、滑る場所、仲間が彼にとっての拠り所で家族となり、そしてスケートでつけた傷の痛みが 彼自身をコントロールする術となっていった。劇中に登場するキアーや、ザックもそれぞれに問題を抱えた家庭で暮らしていたことで、同じように自然と仲間となった。
ビン監督はインタビューで「自分には他の人と比べてスケボーの才能がなかった」と語っている。その代わりに、仲間の姿を撮りためた大量のスケートビデオがきっかけで映像に興味を持つようになり、19歳の時にシカゴに引っ越し、フリーランスの撮影助手として活動。23歳で国際映画撮影監督組合に入り、ジョン・トール、マシュー・リバティーク、ウォーリー・フィスターなどの巨匠撮影監督のもとで劇映画やテレビシリーズの撮影部で働くことになった。
初監督作の題材として、昔のビデオの中に映るキアーやザックの父親との確執にテーマをおくことにしたビン。さらに、撮った映像を見返し編集する過程で、2人の姿に自身の義父との関係と同じものを見つけた彼は、友人2人に焦点をおきながらも自身も映画の中に登場させることを思いついた。