小出恵介『風が強く吹いている』インタビュー 「男が何かを背負って走る姿は美しい」
(Photo:cinemacafe.net)
同年代のキャスト、いい意味でのライバル心が力に
「自分にはないことだらけなんですよ(笑)。あんなに僕は懐も広くないし、あんなに器がデカくないし、全員をこうやって受け止めるっていうのは出来ないし…自分の中のそういう部分を探して、必死でハイジに近づいたという感じでしたね」。ハイジというキャラクターについて聞くと謙遜する小出さん。それでも実際スクリーンに映るハイジは、まさにハマリ役と感じてしまうほど、誰もが信頼したくなるリーダーであり、チームのまとまりはリアリティがある。
「男が集まってスポーツをするというのは、やっぱり『ROOKIES』もそうでしたが、ある種ドキュメンタリー的な要素がすごく出てきますね。
みんな実際一緒に練習に励んだり、一緒につらい思いをしたりしているので。今回もすごく大変でしたけど、その分頑張れたという部分もありました。『アイツが頑張っているんだから、俺も頑張んなきゃ』っていう気持ちって、すごく大切ですよね。特に同年代ですし、いい意味でのライバル心もあり、そういうのが力になるんだなって改めて思いました」。
もちろん、本作のキーは「走り」。「最後に走ってる姿で、観てる人が一緒に嬉しくなり、一緒に感動できなきゃダメだと思ったんです。実際に走るのは僕たちなので、ちゃんと走りを練習して、ちゃんと走る姿で感動を届けられなきゃなって思いました」と小出さんが話す通り、全員の見事な走りによって、観客はドラマに引き込まれていく。
そのための練習はとにかくハードだった、とふり返る。
「昨年の夏に最初の撮影があったのですが、その前にみんなで合宿をしました。白樺湖での高地トレーニング。朝から晩までずっと走りっぱなし。合宿以外ではみんなで集まって練習するときもあれば、スケジュールが合わないときは個人個人で練習することも。撮影中も朝や合間にみんなで走ったりしていましたね」。何か大きな一歩を踏むために走る
特に冬の撮影は何よりもつらかったそう!
「冬の朝の6時くらいから、すっごく寒いけどジョグして温めて、体作って、本番走って。で、また次の本番まで時間があるので、一回冷えた体をまた温めて…っていう、その繰り返しなんですよね。最後、体はボロボロになってました」。
また、本作のもう一人の主役、天才ランナー・カケルを演じる林遣都さんとの掛け合いも大きな見どころだ。
「林くん自身が一生懸命にカケルという人間と向き合っていたので、僕はもう安心しきっていました。彼はカケルをすごく頑張って、カケルになりきって真っ直ぐ向かってきますし、僕は割と受け止める立場の役だったんですけど、それをビシビシ感じるのは気持ち良くて、掛け合うのが楽しかったです。本当に一生懸命で真っ直ぐな俳優さんですね」。
本作を通じて、「男が何かを背負って走ってる姿は美しい」ことが伝わるはず、とインタビューを熱い思いで締めくくる小出さん。実際に自身、いままでは「テレビがついていたら見る」レベルだった箱根駅伝に対して、見方が大きく変わったという。
「この間、ある大学の合宿にお邪魔して見学をして、学生たちと話したんですが、僕が想像していたより何倍も走ることに懸けてる思いは強い。改めてカッコイイな、と思いました。
(映画の中の)このメンバーもそうですが、走ることを生きがいとしてるわけじゃなくて、自分の人生の中で、何か大きな一歩を踏むために走ってる。それが感動につながるんですよね」。
(photo:Yoshio Kumagai)
小出恵介ロングインタビューをシネマカフェにて掲載中
特集 真っ直ぐな眼差しの先
http://www.cinemacafe.net/sweet/koide/
■関連作品:
風が強く吹いている 2009年10月31日より全国にて公開
© 2009「風が強く吹いている」製作委員会
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