評価抜群のNetflixオリジナルドラマ「クイーンズ・ギャンビット」の隠された魅力
ただ、劇中でベスと彼女の母との関係を間接的にファッションを通して描く重要な役割を果たしています。
ベスは大事な試合で緑色のワンピースを着用しており、特に、終盤で着用している薄い緑のワンピースの名前は「エンドゲームドレス」。「ママはあなたのことを愛している」で始まり、「エンドゲームドレス」で物語を終える時、ベスが抱えていた母との思い出と心の傷はどうなったのかも見逃せないポイントです。
男社会で活躍する女性が持つのは強さだけではない
ベスが「エンドゲームドレス」で物語を終えるまで、薬物中毒以外にも様々な生きる上での葛藤が描かれます。これまでは成り上がる女性は勝ち気で、どんな困難にもタフに立ち向かうスーパーウーマンとして描かれることも多かったのですが本作はそうではありません。日本では将棋や囲碁の方が一般的で、日本語では「女流棋士」と敢えて表現されるほど、もともとは男性中心の文化だったということが色濃く残っていますが、チェスも同様に、1960年当時のアメリカでは女性は家庭に入るもので、チェスなんて男性の嗜み、ましてやチェスの大会に出るなんてもっての外という時代。
「女がチェスなんて…」と言われ、男性プレイヤーを圧倒し頭角を表せば「高慢だ」