サム・ライミ『スペル』インタビュー 10年越しの思いが詰まった72時間の“恐怖”
(Photo:cinemacafe.net)
先にも述べたように、本作の企画が動き始めたのは『スパイダーマン』以前のこと。同シリーズの大成功によって、彼自身の映画作りに変化は生じなかったのだろうか?
「僕は、自分の映画の全ての製作過程で多くのことを学んでいる。
職人、芸術家と呼ぶにふさわしい人々に囲まれており、彼らから学ぶことは多いよ。監督とはできる限り最高の職人、アーティストに囲まれるように努力するものだし、そうして異なるテクニックやスタイルを引っ張り出していくんだ。(『スパイダーマン』などの)これまでの映画で学んできたことを引っ張り出して、この映画でも大小様々な形で応用したよ」。
特に大切にしたのは、視覚的な部分。彼はあえて、CGに頼らない映像作りを選択した。
「観る人間にとって、本当にリアルと思えるものを作りたかったんだ。観客は賢いから、そうした視覚効果がコンピュータで操作されているか否か、すぐに分かってしまうよ。僕は、主人公の身に起こることを撮影現場で作り上げたかったんだ。
風の効果からワイヤー仕掛け、操り人形といった人間主導の効果をふんだんに利用したよ。それは、まるでこの場にいるかのようなリアリティを観る人に与えてくれるんだ」。
主人公のクリスティンがたどる道は、小さな不親切の代償としてはあまりにも大きな苦難の連続である。クリスティン役のアリソン・ローマンについて、監督は称賛を惜しまない。
「アリソンは、よく耐えていたよ。こっちは彼女を戦わせたり、泥だらけにしたり、血みどろにしたり…。でも彼女は決して根を上げない。苦しみのたびに強い心構えでもって向かってくるんだ。
大変なシーンの全てで、彼女の忍耐強さとプロ根性に驚かされたよ」。最後に、観客に向けて監督はこんな言葉を残した。
「僕たちがしようとしているのは、本当に楽しく、薄気味悪いお化けの物語を語ること。キャンプファイアで耳にするようなお化けの物語を体験してほしいんだ。少しゾクゾクしてクスクス笑えて、時に飛び上がって叫べるような映画、最後には背筋が寒くなって『ワオ!』と驚いて終わるような作品だよ」。
さてさて、映画が終わったときに一体どんな顔になっているのか――?『スパイダーマン』とはひと味違う、“恐怖”を味わってみては?
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スペル 2009年11月6日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開
© 2009 Curse Productions,LLC
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