『記憶の技法』監督が明かす石井杏奈&栗原吾郎の印象「二人ともなかなか心を開いてくれず…」
「E-girls」石井杏奈主演映画『記憶の技法』の監督を務めた、巨匠・黒沢清監督の愛弟子である気鋭女性監督・池田千尋が、劇場公開前のいまの心境を語った。
『東南角部屋二階の女』で長編デビューを果たし、『クリーピー偽りの隣人』や『空に住む』では共同脚本で携わった池田監督。本作は、吉野朔実の同名漫画が原作となっており、作品との出会いについて池田監督は「初めて読んだのは20代半ばです。吉野朔実さんという作家に惹かれて手に取ったのですが、テーマが自分の描きたいことや関心を持っていることにあまりにも近しく、初めて他の方が紡いだ作品を映画化したいと思いました」と語る。
また具体的には「何よりも衝撃的だったのは、主人公が自分自身の存在に向き合うことで世界に対峙し、自身を乗り越えて他者をまで抱きしめられるようになるまでの過程の鮮烈さです。それを映画で見てみたいと思いました。同時に、記憶について描かれている点に興味を持ちました。私自身、記憶というものについて考えていた時期があり、大学生の頃にそのような内容の短編を撮ったことがあります。
記憶とは自分という内部がそれを記憶しているのではなく、ただ他者や場所という外部に記憶されているに過ぎないのではないか?人は記憶を通して他者の世界に存在する自分を意識するのではないか?この考えの先を発見したかったわけです」