2021年1月8日 14:00
【インタビュー】「香水はひとつの芸術」監督、俳優との共通点を語る『パリの調香師 しあわせの香りを探して』
クリエイションとはそういうことだと思うんです。大事なのはできあがった作品だと思っています。
エマニュエル:実は、脚本を読んだときに驚き、興味を引かれたのは、このアンヌという人物が凄く私に似ているということだったんです。彼女と同じように感じていることが多かった。単に表現の仕方が違うんだという気がしています。彼女ほど人見知りではないし、歯に衣着せずものを言ったり、感情を顔に出したりはしない。もう少し社交性はあると思います。今の社会って、私のことを見て見てと自分をさらけ出す人が多い。
私はそうではなくて、すべてを人にさらけ出す必要はないし、自分の内に秘めおく必要のあることも多いと思っています。そういう意味では、アンヌと似ていると思います。
「幸せにしてくれる香り」は?
――日々、様々な香りに接しているアンヌが、コプラ油の石鹸の香りを嗅ぎ、子ども時代を懐かしむシーンが美しくて大好きでした。お二人にとって、「幸せにしてくれる香り」はありますか?
エマニュエル:もちろん沢山ありますよ。古い、昔ながらの家の冷たいタイルの香り、丁寧にワックスが塗られた木の床の香り。そういう香りが私を幸せにしてくれます。