【インタビュー】吉川愛 アリエルに憧れた少女がディズニー新ヒロイン・ラーヤに抱いた“孤独”と“成長”の魅力
時代ごとに常に多様な女性像を描き出してきたディズニーがまた新たなヒロインを誕生させた。先日、公開を迎えた『ラーヤと龍の王国』の主人公・ラーヤは、過去のディズニーのヒロインの中でも屈指の強さを誇りつつも、全てを失った“ひとりぼっち”な存在である。そんな彼女が旅を続けながら仲間に出会い、大切なものに気づかされていく姿を描く。ラーヤの日本版声優を担当した吉川愛に本作、そしてラーヤの魅力について話を聞いた。
「自分を信じられるような努力」が大切
今回、声優初挑戦となった吉川さん。子どもの頃からディズニー・アニメーションが大好きだったそうで、ラーヤ役に決定する以前、オーディションの段階から「信じられない」気持ちだったという。
「オーディションは、すごく緊張しました。“ディズニー”というワードをまさかお仕事で聞けるとは思ってなかったですし、『(受かる受からない以前に)いい経験をさせていただいたなぁ…』という気持ちでした。
だから受かった時は『え…!?』という感じで。別のお仕事の休憩中に電話で知ったんですけど、まさか受かると思ってなかったので『私?』って(笑)。普段からアニメはよく見るので、声優さんという仕事への憧れはありました。アニメを見ているうちに、いつか自分でもやってみたいなと。でも、まさか初めての声のお仕事がディズニー・アニメーションになるとは思ってなかったです(笑)」。
かつて、龍と共に栄えた王国を取り戻すべく、伝説の最後の龍・シスーを探す旅を続けるラーヤ。過去に“敵”に心を許したばかりに、父を失い、王国の荒廃を招いた経験があるがゆえ、他人を心の底から信じることができない。この「信じる」ということが物語を通じて大きなテーマとなっている。
「最初に脚本を読んだ時、信じ合う心というのはこんなにも大切なものなのかと思いました。私自身、初対面の方に対して慎重になりすぎてしまう部分があるので、そういうところはラーヤと似ているなと思うし、彼女に共感できました。でもこの物語から、自分から積極的に一歩踏み出してみようと思えたし、私みたいな人にもぜひ見てほしい作品だなと感じました」。「信じる」ということに関して、何よりも難しく、そして大切なのは「自分自身を信じること」だと吉川さんは言う。
「まず、自分を信じられないと、どういうふうに生きていくのかも決められない。自分を信じて、行動に移していくのが大事だなと感じています。そのために、自分を信じられるような努力を積み重ねていかないといけないんですよね。私自身の経験として、ちょっとでも自分で自信を持たないといけないなというのは感じています。
中身を磨く努力をしてみたり、ちょっとだけでも見た目を変えてみたり、ちょっとしたことでもいいから少しでも自信を持てるように努力していくことが必要だなと思いますし、その努力があれば(不安な時に)『ちゃんとやってきたんだから』と思えるんですよね」
ラーヤ同様、様々な出会いが成長につながる
ディズニー作品、そこに登場するヒロインたちは、幅広い世代に愛され続けてきた。先述のように、小さな頃からディズニー作品が大好きだったという吉川さんもまた、大好きなディズニーのヒロインに大きな影響を受けてきたし、今回、命を吹き込んだラーヤもまた、人々の背中を押す存在になる可能性を秘めている。
「私は小さい頃、一番好きだったのはアリエル(『リトルマーメイド』)でした!アリエルの恰好をしてリビングを歩き回ったり、仕草をマネして髪をかき上げて『アリエルみたいでしょ?』って(笑)。かわいくて、でも勇気を与えてくれる存在でした。芯の強さや好奇心旺盛なところはラーヤと同じだなと思います。ただ、ラーヤはこれまでのヒロインたちと違って、すごく孤独で、周りを信じることができないんですよね。それが仲間たちと出会って成長していく――そこはすごく惹かれる部分だなと思います」
ここ数年、途切れることなく次々と話題作に出演する吉川さんだが、自身もまた、様々な出会いが自分を成長させてくれたと感じている。特にターニングポイントとも言えるほど大きな出会いとして挙げるのが、2019年に放送されたドラマ「緊急取調室」。
同作への出演は3エピソードだったが、何がそれほどまでに吉川さんに強烈な印象を残したのか?
「あの作品に出させていただいたとき、すごく楽しかったんです。いままでのお芝居の中で、一番ウキウキしました。(主演の)天海祐希さんは、ずっと憧れの存在で、小さい頃に一度、お見かけしたことがあったんですけど、すごくかっこよくて『いつかご一緒したい』というのは夢でした。それもあって、すごく力が入ってたんですよね。本番前は緊張感もものすごくあったんですけど、演技に入ったらものすごく楽しくて、最高でした。この作品に出会ったことで『もっと頑張ろう!』とこの仕事の楽しさを実感できました」。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、当初は劇場公開予定だった作品が、配信で公開となるケースが昨年は続いたが、本作は全国の劇場で公開される(※ディズニープラス プレミア アクセスにて同時配信もスタート)。最後に吉川さんの映画館体験、映画館で映画を鑑賞する楽しさについて聞いてみた。
「小さい頃はあまり映画館に行く習慣がなかったのですが、一度だけ母が映画館に連れて行ってくれたんです。それがすごく楽しくて、今ではよく映画館で映画を観ます。映画館でキッズアニメを観るのもすごく好きで、必ずポップコーンを買って観ます。普段、撮影の合間に数時間空いたら、時間を調べてひょいっと映画を観に行くことは多いです」。
(text:Naoki Kurozu/photo:You Ishii)
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