くらし情報『ミュージカル映画の可能性を広げた『イン・ザ・ハイツ』の「新しさ」』

2021年7月31日 18:30

ミュージカル映画の可能性を広げた『イン・ザ・ハイツ』の「新しさ」

Photo by cinemacafe.net

《text:宇野維正》

ミュージカル映画ーー中でも『ラ・ラ・ランド』のようなミュージカル映画そのものにオマージュを捧げたメタ的な作品ではなく、『レ・ミゼラブル』のようなブロードウェイ・ミュージカルを映画化した本格的なミュージカル作品ーーがちょっと苦手という人は少なくないのではないか。「さっきまで普通に喋っていた人物がどうして突然歌い出したり踊り出したりするの?」というのは、それこそ昭和のテレビ番組におけるタモリを筆頭に散々語られてきたことでもある。それを言うなら、タイツ姿で高層ビルの谷間を飛び回ったり、ハンマーを手にした神が宇宙からやってきたりするのも不自然極まりない設定なわけで、映画という表現フォーマットは本質的にそうした不自然で非現実的な「見せ物」であることと分かちがたく結びついているわけだが、同じ「見せ物」でも観客によってハードルの種類が違うのは致し方ないことではある。

しかし、『イン・ザ・ハイツ』を世に送り出した劇作家リン=マニュエル・ミランダは、そんなこれまでミュージカル映画に苦手意識をもってきた人々にとって画期的な存在となるかもしれない。トニー賞はもちろんのことグラミー賞やピューリッツァー賞(戯曲部門)

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.