2021年9月17日 17:30
「ウエストワールド」リサ・ジョイ監督が尽力した「次元が違う」記憶の見せ方『レミニセンス』
その際はヒュー・ジャックマンの動きを想定しながら別撮りする範囲を決め、ひとつのシーンを二度に分けて撮影しました。ヒューがシーンに加わったときに違和感がないように、カメラワークを二度とも同じにしたんです。監督や撮影クルーが長い定規を持って走り回る撮影現場は前代未聞ですが、プロジェクターの投影距離をつねにチェックしなければいけませんでした」。
さらにスタッフは、美術デザインから調度品の位置にまで注意を払い、記憶の再現映像を所定のスペースに収めるよう工夫したという。そのかいあって、完成したホログラム映像は半円筒形の薄手のメッシュシートに無事に投影された。だからこそ、レベッカ・ファーガソンが演じるクラブ歌手のメイに対するヒューの演技はよりリアルに溢れたものになったのだ。
ニューオリンズの廃遊園地を海に沈める…
では、『天気の子』をも彷彿とさせる、都市が海に沈んだ水に支配された無法地帯を舞台にした『レミニセンス』の具体的な世界観をどのようにして思いついたのか。「最初の発想は単純に今地球で起こっていることから得ました。
7年前からこの脚本を書き始めたけれど、その頃からもう気温上昇や地球温暖化については言われ始めていて、実際に撮影が始まる頃には上昇する海面の防波堤がマイアミでは作られ、私が『レミニセンス』で考えていた防波堤とそっくりだったのです」