【どちらを観る?】アカデミー賞有力『マイレージ、マイライフ』vs『ハート・ロッカー』
(Photo:cinemacafe.net)
共にアカデミー賞作品賞にノミネートされている『マイレージ、マイライフ』と『ハート・ロッカー』。全くタイプの異なる2作が、本年度の映画賞を席巻している。
企業の依頼でリストラ対象者に解雇を通告する男をジョージ・クルーニーが演じた『マイレージ、マイライフ』は、空っぽな現代人の目覚めを描くヒューマンドラマ。解雇を通告するための出張フライトを来る日も来る日も続けながら、社会そのものにも見えるマイル社会を駆け上ってステイタスを得た男が、ふと立ち止まって自分の姿を見つめ始める。
ゴージャスな空の旅やホテル滞在を軽やかに楽しみ、女性との間にライトな関係を求め、どこまでもスマートに生きる主人公の姿はジョージ・クルーニーそのものにも見えるが、ハリウッドの中心で映画を作り、主演男優賞ノミネートという形で仲間に讃えられるクルーニー自身とはきっと異なる。しかしながら、小粋な会話劇の魅力で社会的な題材にぐいぐいと迫っていく作風はクルーニーにぴったりはまるものであり、脚本の段階から彼を想定していたというジェイソン・ライトマン監督の起用勝ちだと言える。「人はひとりで生きていけるのか?」