キッチン、そして家全体が「牢獄のよう」 『グレート・インディアン・キッチン』監督がメッセージ
教育を受けた女性が「家」の中で、家父長制とミソジニー(女性嫌悪)に直面して味わうフラストレーションをドキュメンタリー的タッチで描き、多くの共感が広がったインド映画『グレート・インディアン・キッチン』。公開を目前に控え、ジヨー・ベービ監督から撮りおろしメッセージ映像が到着した。
コロナ禍のインドで、配信公開された本作は視聴者からのクチコミでSNSに共感の声が広がり、配信会社のサーバがダウンするほど話題となった。
物語の主人公は、名前を持たない「妻」と「夫」。インド南西部のケーララ州で、古くからのインドの風習に従い、お見合いで結婚した高カーストの男女。
中東で育ち、モダンな生活様式に慣れていた妻は、夫と義理の両親が暮らす由緒ある邸宅に入り、温和な姑の下で家事のあれこれを学んでいく。結婚後まもない時期に、姑は嫁いだ娘の出産準備のため家を離れる。舅は家電の使用を嫌い、夫は作りたての手料理を好む。通いの家政婦もいない家で、妻はミキサーや洗濯機を使うことを許されず、1人で家事全般を受け持つことに。
「妻」が家事から解放されるのは、「穢れ」であるため小部屋で一人隔離されて過ごす、生理の期間だけだった――。