キャリー・マリガン 『17歳の肖像』インタビュー オスカー候補24歳の素顔と成長
(Photo:cinemacafe.net)
「仕事の量も増えたし、こういう映画に出なければかなわなかった人々との共演のチャンスが与えられるという面では、本当に素晴らしいことだけど、それは仕事の面での変化。
私自身の普段の生活はほとんど変わっていないわ」。“狂騒”と言っても過言ではない現在の状況にも、彼女は静かにそう語る。もう一度、彼女に本作への出演に至る経緯、撮影の様子をふり返ってもらった。
「かなり長いプロセスね。撮影の2年ほど前に初めて脚本を読んで、オーディションに参加しました。でも、インディペンデント映画ということで難しい部分もあって、撮影の1か月前くらいまで資金調達が出来なかったの。ピーター・サースガードやエマ・トンプソンは最初から映画に参加することは決まっていたけど、映画として実現できるかどうかハッキリしていなかった。そんな状況で監督が演じたスタッブス先生(※劇中ではオリヴィア・ウィリアムズが演じた)を相手に4回目のオーディションに臨んだの」。
撮影は2年前。当時、この映画がのちにここまでの注目を集める作品になると思った?
「6週間半の撮影期間の低予算で撮った作品だし、撮影中はいろいろあってそんなこと考える余裕もなかったわ。サンダンス(国際映画祭)で買い手がついたのは幸運なことだったけど、こんなに注目されることになるなんて想像もしてなかった」。自身が演じた16歳の高校生・ジェニーに対し共感した部分を尋ねると、彼女の持っていた“憧れ”を挙げた。
「ジェニーがパリに憧れていたように、私もいま自分がいる場所に満足できなくて『とにかくニューヨークに行きたい!ブロードウェイの舞台に立ちたい』という気持ちを持っていました。彼女の、“ここではないどこか”に行きたいと切望する気持ちは理解できたわ」。
キャリー自身、劇中当時のロンドンについて「若者が楽しめるような街になったのはこの(映画の設定の)数年後で、この頃は退屈な街だったと思う」と語るが、劇中のジェニーはまさに、ロンドンに希望を見出せず、対照的に年上の恋人に連れられて訪れたパリに自らの輝ける未来を投影する。そうしたキャリーの変化は、彼女のファッションにも表れる。
60年代のファッションに身を包んだ感想は?
「やはり衣裳というものは役作りをする上で、非常に重要なもの。パリを訪れたシーンで着ていた服や、彼女自身の服、ヘレン(ロザムンド・パイク)に借りる服やデイヴィッド(ピーター・サースガード)に買ってもらう服など、ファッションは考えるのも着るのもとっても楽しかった。当時の男性のファッションもすごく魅力的で、いまの男性たちにも、汚い格好ではなくてああいう格好いい服を着てくれたらいいなと思います!唯一、6年間着ていなかった(高校の)制服だけはちょっと変な感じがしました」。
先述のように「普段の生活に変化はない」と語る彼女だが、では、“女優”として、この作品を通じて自分の中で感じる変化は?
「以前は、失敗してはいけないとプレッシャーを感じたり、心配することが多かったけど、緊張せずにリラックスして、楽しんで仕事をするということをピーター・サースガードから学びました。彼は色んなことを試してみて、それがうまくいかなくてもまた別のことをやればいいという考え方の人で、私に楽しんで仕事をすることを教えてくれた人なんです」。
映画の原題は“An Education(=教育)”。学校の勉強とはまた違った経験をピーターが演じる年上の恋人との出会い通じて学んでいく姿が描かれるが、まさしく映画と同じように本作を通じて“教育”を受け、成長を遂げたというキャリー。今後も、シャイア・ラブーフとの共演作で80年代の名作の続編『ウォール・ストリート』にカズオ・イシグロの小説「離さないで」を原作にキーラ・ナイトレーと共演した『Never Let Me Go』(原題)など出演作が目白押し。
これから、スクリーンの中でどんな表情を見せてくれるのか楽しみに待ちたい。
特集:2010アカデミー賞
http://www.cinemacafe.net/special/oscar2010/
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© Omelette/AMPAS17歳の肖像 2010年4月17日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開
ウォール・ストリート 2010年、全国にて公開
© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX
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