祖国から脱出した青年が20年の時を経て語る真実の物語『FLEE フリー』6月公開へ
本年度アカデミー賞にて、史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門同時ノミネートの快挙を成し遂げた、デンマークほか合作によるドキュメンタリー映画『FLEE(英題)』が邦題『FLEE フリー』として、6月より全国公開されることが決定した。
アフガニスタンで生まれ育ったアミンは幼いある日、父がタリバンに連行されたまま戻らず、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。やがて家族とも離れ離れになり、数年後たったひとりでデンマークに亡命した彼は、30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼には恋人にも話していない、20年以上も抱え続けていた秘密があった。
本作はドキュメンタリーでありながら、主人公アミンをはじめ周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作されている。いまや世界中で大きなニュースになっているタリバンとアフガニスタンの恐ろしい現実や、祖国から逃れて生き延びるために奮闘する人々の過酷な日々、そして、居場所を奪われることがいかに人間の尊厳を傷つけるのかを、時に美しく、時に残酷に描き出す。
多くの観客に深い感動と衝撃を与えている本作は、2月28日時点で、各国の映画祭で69受賞144部門ノミネートという圧倒的な評価を獲得。本年度アカデミー賞では、史上初となる国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞、長編アニメーション賞3部門同時ノミネートの快挙を成し遂げ、3月28日に行われるアカデミー賞授賞式での歴史的な受賞にも期待が掛かっている。
また『サウンド・オブ・メタル聞こえるということ』のリズ・アーメッドと、ドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のニコライ・コスター=ワルドーのふたりはアミンの物語に心を打たれ、国の垣根を越えてエグゼクティブプロデューサーとして本作をサポート。そして『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督は、オスカーのアニメーション部門にドキュメンタリー映画である本作がノミネートされると、「『FLEEフリー』がアニメーションを芸術として発展させたことをとても嬉しく思う」と喜びの言葉をTwitterに投稿している。
自身も迫害から逃れるためにロシアを離れたユダヤ系移民であるヨナス・ポヘール・ラスムセン監督は、インタビューで「難民であることはアイデンティティではありません。それは誰にでも起こりうる状況です。アミンは難民ですが、彼はそれだけではありません。彼は学者であり、家の所有者であり、夫なのです」と語っている。
本作が伝えるアミンの物語は非常に個人的なものでありながらも、紛争、難民、人種差別、LGBTQ+など現代社会を覆う数々のテーマが内包されており、彼の声は、いまを生きる我々の心に深く語り掛けてくる。
『FLEE フリー』は6月、新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて順次公開。
(text:cinemacafe.net)
■関連作品:
FLEE フリー 2022年6月10日より新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開
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