M・スコセッシ×GUCCIがコラボ支援「失われた傑作」『WANDA/ワンダ』日本初公開へ
と映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」で語った。

その後も、ローデンが監督した唯一の本作は同世代の女優や映画監督たちに多大な影響を与え続けながらも、長い間、観ることのできない伝説的作品として認知される。
デュラス、スコセッシ、ユペールはもとより、カンヌ映画祭常連のダルデンヌ監督兄弟、親交の深かったジョン・レノン、オノ・ヨーコ、カルト映画の巨匠ジョン・ウォーターズ、現代アメリカ映画の最重要作家ケリー・ライカート、ガーリーカルチャーの旗手ソフィア・コッポラなどが口々に尊敬の念を込めて「失われた傑作」と評価し、ローデンを不世出の作家として敬意を表する。「私は洗練された映画が大嫌い」と言い放つローデンの荒削りな美学で骨の髄まで削ぎ落とされた本作には、その後の数多くのインディペンデント映画で用いられるスタイルが見て取れる。常に動いているカメラワーク、無名のロケーション、奇抜さや奇妙なキャラクターを求める姿勢など、このスタイルを駆使した最初の女性監督による映画といえる。

M・スコセッシ監督のザ・フィルム・ファウンデーションとGUCCIの支援によりプリント修復
2003年、ユペールはデュラスの意思を引き継ぐかのように、映画の配給権を買い取り、この幻の映画をフランスで甦らせる。