アニエス・ヴァルダ、漂流する女性描く1985年の作品『冬の旅』公開へ
映画作家アニエス・ヴァルダ監督の代表作の1つに数えられながらも、初公開以来、長らく日本で劇場上映されてこなかった“漂流する女性”映画の金字塔的作品『冬の旅』が10月下旬より公開決定。ポスタービジュアルも解禁となった。
2019年3月に生涯現役を貫いて90歳で逝去したアニエス・ヴァルダ。訃報に際しては、マーティン・スコセッシやカトリーヌ・ドヌーブ、ミランダ・ジュライ、さらにマドンナ、パティ・スミスなど、映画界に留まらず世界中の人々が哀悼の意を表した。
また、彼女から影響を受けたと語る映画監督も、グレタ・ガーウィグ、ケリー・ライカート、レナ・ダナム、アリーチェ・ロルヴァケルなど枚挙にいとまがなく、世界中の人々から敬愛されている。
アニエス・ヴァルダは28歳の時、後に「ヌーヴェルヴァーグの最初の映画」と評されることになる『ラ・ポワント・クールト』(54)を発表して一躍注目を集め、『幸福(しあわせ)』(64)では第15回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、世界に認識された。以後もフィクションとドキュメンタリーを縦横無尽に行き来し、常に市井に生きる人々の飾らない姿を活写し続けた。
その長年の功績が讃えられ、2015年にはカンヌ国際映画祭名誉パルムドールを、2017年には米アカデミー賞名誉賞を受賞している。
そんな彼女の劇映画の最高傑作との呼び声が高い作品が、1985年に発表された本作『冬の旅』。
フランス片田舎の畑の側溝で、凍死体として発見された少女モナ。彼女の死に至るまでの数週間の足取りを、路上で出会った人々の証言から辿っていく、という物語。
本国フランスでは、当時のアートシアター映画としては異例の100万人超えの観客動員を記録し、ヴァルダ最大のヒット作といわれている。第42回ヴェネチア国際映画祭では最高賞・金獅子賞に輝き、主演サンドリーヌ・ボネールもセザール賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、作品も高く評価された。だが、それから6年遅れた日本での初公開時の観客の反応は鈍く、正当に評価されたとは言い難いものとなった。
今回、30年以上の歳月を経て、2022年3月、東京・国立映画アーカイブで行われた特集「フランス映画を作った女性監督たち-放浪と抵抗の軌跡」における一度限りの上映は、早々に満席完売に。奇しくも、2022年の日本では、ヴァルダも好きな監督の1人と公言し、同じベルギー出身の女性監督シャンタル・アケルマンの特集上映が盛況を呈しており、また『冬の旅』と同じく、「漂流する女性」を描き高く評価されつつも、長らく日の目を浴びてこなかったバーバラ・ローデン監督・脚本・主演を務めた『WANDA』も日本初公開を迎えている。
なお、今回劇場公開で使用される素材は、2014年にヴァルダ本人と本作の撮影監督を務めたパトリック・ブロシェによる監修で2K修復された、DCP素材となる。
『冬の旅』は10月下旬、シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。
(text:cinemacafe.net)
■関連作品:
冬の旅 2022年10月下旬、シアター・イメージフォーラムほか全国にて公開
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