『靴ひものロンド』監督が語るアルバ・ロルヴァケルの存在感とは
さらに、「アルバは演技に生命を与えようとします。それは相手のルイジにも作用する。彼らのいくつかのシーンでは、彼女が無関心なアルドに働きかけることによって活性化する、という様子が印象的でした。アルバは他の俳優の内面にも入り込むことができ、相手を揺さぶる力がある。それこそ彼女の強みだと思います」とその魅力を明かしている。
また、冒頭のダンスシーンについては「決まった動きのある踊りを取り入れたかった」そうで、「まるで儀式のような、振り付けが決まっている踊りです。結婚は、いわばひとつの振り付けに従わなくてはならないと感じていたこともあったから。さまざまな義務や決まったステップがあり、その枠組みは、一見楽しそうだけれど同時に義務でもある。このシーンは、この映画のテーマを提示しています」と語る。ジェンガの曲にあわせて踊り、視線を交わし楽しげな雰囲気に包まれる家族4人。夫婦関係の不和を徹底的に描きながらも、ルケッティ監督は子どもの存在も決して忘れない。子どもたちが見つめる視点があるからこそ、辛辣ながらも家族とは、結婚とは何なのか、その先の解放への示唆に思いを巡らせるきっかけになっている。
『靴ひものロンド』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開中。