くらし情報『「愛の持つ多様性、複雑さについての映画」モロッコの気鋭マリヤム・トゥザニ監督が最新作語る』

2023年6月18日 14:30

「愛の持つ多様性、複雑さについての映画」モロッコの気鋭マリヤム・トゥザニ監督が最新作語る

私もあえてそのことには触れないようにしました。でも、彼が隠す“何か”は本作の核になりました。この映画には“善人”も“悪人”も登場しませんが、私はどんな形でも批判を招かないように細心の注意を払って脚本を書き進めました」。

「伝統の手仕事を守る人々を見つめ、尊敬の念を作品で表現したかった」

劇中に登場する夫ハリムの職業を美容師からカフタンの仕立屋に変えた理由については、「カフタンは大人の女性の象徴で、少女時代の私にとって憧れでした。成人して初めて母から受け継いだカフタンをまとった時、これは次の世代へと物語を繋ぐ、貴重な品だと気づきました。1枚のカフタンが完成するまでに職人は数か月を費やします。そうして完成したカフタンからは、着る人の心に職人の魂と完成までの物語が届くのです」と話す監督。

「愛の持つ多様性、複雑さについての映画」モロッコの気鋭マリヤム・トゥザニ監督が最新作語る

「この物語には手間暇かけて作られるカフタンがふさわしいと思いました。
残念ながらモロッコではカフタン作りは衰退の一途を辿っています。技術の取得に長い時間がかかるのも原因のひとつでしょう」と語り、「私が思うに、伝統工芸とは自分が何者かを教えてくれるDNAの一部であり、次世代に伝えるべき宝物です。速さが優先される現代社会ですが、私は伝統の手仕事を守る人々を見つめ、尊敬の念を作品で表現したかった。

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