日米デザイナー対談! 2人のデザイナーは鬼才ホン・サンスの世界をどう切り取ったのか?
そこで何を借りるか? 映画の内容はわからなくても、パッケージのビジュアルを見て、面白そうなものを選んでいました。
タイトルは覚えてないんですが、男性がひとりでイスに座っていて、彼の影が床に伸びているデザインを見まして、それはすごくシンプルなんですが、強烈な印象があって、何も知らないその映画を「観てみたい!」と思ったんです。その体験は、デザインというものに影響された最初の経験だった気がします。
若林:映画のデザインを手がけるにあたって、自分は映画の作品を参考にしたことは一切なくて、むしろ横尾忠則さんや田中一光さん、井上嗣也さんといった、映画ではないデザイナーたちのデザインを研究し、どういうフォント、どういう色、どういう紙を使っているか? といったことを勉強し、それを映画に持ち込んでやってきた部分が大きいと思います。なので、自分の映画ポスターはあんまり映画らしくないデザインだと思うし、むしろそういうものをつくっていこうという思いでやっています。
――映画のポスターの制作のプロセスについて、お聞きします。最初にオファーが届いて、その後、どのようにポスター制作を進めていくのか教えてください。