キングギドラ、モスラをつくった怪獣造形師・村瀬継蔵が胸にとどめる円谷英二の金言
でも、ただ刺すだけじゃおもしろくない。じゃあ、(刺したところから)何か吹き出す仕掛けにしようか? 金粉なんてどうですか? と言ったら、おやじさん(=円谷さん)は「いや、金粉じゃ生き物じゃないよ」という話になって、いろいろ工夫して、刺されたらパーッと血と金粉が吹くようなカットができまして、おやじさんも「これはおもしろい」と。
八岐大蛇のボディは直径1メートル50~60センチくらいあったかな? 三船さんがそこに乗っかって、剣を刺すんですけど、八岐大蛇の首や体をうまく動かす方法がないか? という話になりまして。操演技師の中代文雄さんという方がおられたんですけど、相談したら「ピアノ線で上から吊って動かそうか?」という話になって、テストして、それでOKになりました。みなさん、僕が八岐大蛇を造ったと褒めてくださるんですけど、決してそうじゃなく、裏には操演技術や円谷さんのアイディアとか、いろんなものが合わさって、ああいう動きの八岐大蛇ができたわけです。
八岐大蛇が酒を飲むシーンも、中代さんが「大きな桶に首を突っ込ませると、飲んでいる感じがよく出るんじゃないか?」と提案して、あのカットができたんです。