「はじまりは工場」名曲誕生にまつわる瞬間捉える『ボレロ 永遠の旋律』本編冒頭映像
機械のシンフォニーだ」などと説明し、「音は何度も始まり、そして繰り返す」とこの空間が生み出すイメージを次々と言葉にしていく。彼はこの場所から生まれるあらゆるものを“音楽”と捉えていたが、イダにはその意図が分からない。ところが、やがて彼は何かに押しつぶされそうな苦痛の表情を浮かべはじめる…。
カメラは機械の動作や金属が摩擦する様子を意識的に大きく捉え、それらが反復することで生み出される音たちは次第に音色へと姿を変え、この後、ラヴェルが生み出したこの名曲「ボレロ」についての驚きのオープニングへと移っていく。
ラヴェルは、ニュー・ブリテン誌の1933年8月9日号に掲載された自身のエッセイにおいて「工場には、なんと音楽的な物語があふれているのだろう!音楽家は、歴史家や小説家と協力しながら、現代の機械の物語を我々の子孫に伝えていかなければならない。私の《ボレロ》も、はじまりは工場だった。いつの日か、巨大な工業製品を背景にしてこの曲を演奏してみたいものだ」(一部省略)などとこの曲への想いを語っており、それを体感することができる物語の幕開けとなっている。
またこの映像の冒頭には、本作のアンヌ・フォンテーヌ監督が日本公開に向けて寄せられたメッセージ動画も。