【インタビュー】黒沢清監督が語る、黒沢流・恐怖演出と映画『Chime』での挑戦
実はあれにほとんど近い人が近所にいるのです。そんなに狂った人ではないのでしょうが、毎週決まった時間にゴミ捨て場に「ガラガラガラ」と周辺にものすごく響くような大きな音を立てて大量に空き缶を捨てていて、「若干ストレス解消もあるのかしら。面白いな」と思い、使わせていただきました。
――お知り合いの方に転売屋がいたことから「贖罪」や『Cloud クラウド』の設定に繋がったというお話も以前されていましたが、黒沢さんご自身の経験から引っ張ってきた部分もあるのですね。
それを基に大きなドラマを作ることはそうそうありませんが、ちょっとしたアイデアで「これ使えそう」というものは身近なところから拾ってくることもあります。
――『Chime』の料理教室で顕著な“ステンレスが持つ怖さ”は、クリント・イーストウッド監督の『ヒア アフター』の影響もあったそうですね。
そうですね。実はもともと、料理教室から発想したわけではありません。
「若い人たちに教えている」というアイデアを具現化できる場所として、「塾や大学にするか?もっと何か面白いものはないかな」と考えていく中でふと『ヒア アフター』を思い出しました。