『ラストマイル』野木亜紀子作品から紐解く、社会システムが生み出す弊害
公開10日にして興行収入21.5億人を突破したという『ラストマイル』。ヒットの要因は、いくらでも考えられるが、その中のひとつとして『ラストマイル』と同じ、監督は塚原あゆ子、脚本は野木亜紀子の座組で作られた「アンナチュラル」と「MIU404」という人気ドラマの世界観を共有した“シェアード・ユニバース”であるということももちろんあるだろう。
両作品からのキャストが物語に関わりながら登場するのも楽しめたし、先日は、シークレットにされていた中村倫也の情報解禁も行われたばかりだ。
「アンナチュラル」と「MIU404」のファンであれば、更に愉しめるし、見ていなくてももちろん楽しめる。また、映画を見てから二作品を見ると、また映画を見たくなるということもあるだろう。ほかの野木亜紀子作品を見ておくと、更に楽しめるのではないだろうか。どの作品にも通底したものが流れているからだ。
今回の『ラストマイル』で筆者が思い出したのは、意外にも日本テレビで放送されていた「獣になれない私たち」だった。
この「獣になれない私たち」では、主人公の深海晶(新垣結衣)が、ECサイトの制作会社・ツクモ・クリエイト・ジャパン(偶然にも、『ラストマイル』と近いところにあるようにも思えるが、個人経営のECサイトの制作会社である)