『ラストマイル』野木亜紀子作品から紐解く、社会システムが生み出す弊害
の営業アシスタントとして働いている。
しかし、この会社の社長の九十九剣児(山内圭哉)は、頭の回転が異常に早く、他人にも同じようにできるはずと期待しているため、できないと早口でまくしたて、それがパワハラになってしまい社員たちを疲弊させていた。
晶は、前職で建築会社の派遣社員をしており、その頃から実直な働きぶりが買われ、紹介を受けて正社員としてツクモ・クリエイト・ジャパンで働くことになったのである。
晶は人より早く出社し、毎日、掃除をしたり、コーヒーをセットしたり、資料を整えたりしている。それが終わったころに、ようやく始業時間となり、社長のほか、社員たちが出社してくる。
しかし、晶はやる気のない社員(その中には「虎に翼」のヒロインの伊藤沙莉の姿も!)の代わりに取引先の男性に土下座を強要され、実際に土下座をすると、今度はその男性に頭をなでなでされてしまう。リアルタイムで見ていたときは、ひえーーーと声をあげてしまうシーンであった。
こうした社の内外でのストレスに耐え切れず、晶は地下鉄のホームで電車を待っているときに、線路のほうへ引き込まれそうになってしまうのだった。
『ラストマイル』でも、巨大倉庫の中で、とにかく物流が止まらないように、そしてひとつでも多く物が売れるようにという目標に従って、何人もの人が働いている。