アカデミー賞監督、キャンセルカルチャーを問う ドキュメンタリー『ジョン・ガリアーノ』のテーマは“赦し”
アカデミー賞を受賞したドキュメンタリーの名手、ケヴィン・マクドナルド監督による『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』が現在公開中。この度、世界的ファッションデザイナー、ジョン・ガリアーノを被写体に決めた理由や、本作の大きなテーマである“キャンセルカルチャー”について監督が語る貴重なインタビューがシネマカフェに到着した。
“ファッション界の革命児”としてキャリア絶頂期だった2011年2月、差別的暴言を吐く動画が拡散、その後有罪となり、ブランドから解雇され、文字通り“すべて”を失くしたジョン・ガリアーノ。その人物を通して、現代の大きな社会問題であるキャンセルカルチャーや“赦し”という題材を描く本作。
ジョン・ガリアーノ
ガリアーノの差別発言についてマクドナルド監督は、「2011年当時はまだSNSの黎明期でした。つまり、彼は問題発言をカメラに撮られ、キャリアを台無しにした最初の人物のひとりだと思います。だから、現在まで続くこの大きな問題にも光を当てることができるかもしれないと思ったのです」と彼を被写体に選んだ理由を語る。
劇中ではカメラをまっすぐに見つめ、赤裸々に告白をするガリアーノの姿が印象的だが、彼との会話で、特に印象に残ったことは? という質問には、「最も説得力があったのは、彼自身がまだこの物語を理解しようと、もがき苦しんでいるように感じたことです。