堺雅人インタビュー 「幕末の負け側ばかり演じてきて、勝手に三部作って呼んでます」
(Photo:cinemacafe.net)
時代劇ブームと言われる昨今、次々と新たな作品が公開を迎えるが、『武士の家計簿』は風変わりな一作。幕末から明治維新という激動の時代を描きつつも、主人公が刀を抜いて派手なチャンバラを見せるシーンもなければ、尊王攘夷や佐幕などの思想にかぶれて京に上ることもない。とはいえ“異色”という言葉は適当ではない。そこに描かれるのは、あの時代を生きた多くの者の“普遍”と言うべき道――妻を父母を、そしてわが子たちの暮らしを、未来を必死で守ろうとする男の姿である。この愛すべき愚直な男を静かに、淡々と演じるは堺雅人。これまでにも数々の作品で“武士”を演じてきた堺さんだが、主人公・猪山直之の視線を通して何を見たのか――?
借り物の価値観ではなく自分の頭で考える“かっこよさ”
代々、加賀藩の御算用者、つまり経理のプロとして、“そろばん”でもって仕えてきた直之。火の車となった我が家の家計を前に、節約と倹約…否!“工夫”によって家政を立て直していく。この男から堺さんは「かっこよさ」を感じたという。
「この映画、テーマはたくさんあると思うんです。つつましやかな幸せの大切さであったり、節約という部分だったり。