(Photo:cinemacafe.net)
10代、特に高校生の時期というのはあれやこれやと思い悩むもの。恋や友情に始まり、将来、自我に至るまで答えの出ない問答を繰り返し…いや、10代どころかいい年になっても同じような悩みに振り回されるのでタチが悪いのだが…。映画『アブラクサスの祭』はまさに、若い頃からの懊悩(とウツ)を引きずった僧侶が“音楽”によってそれを取っ払おうとする姿がユーモアたっぷりに描かれる。芥川賞作家で自身も僧侶の玄侑宗久による同名小説を映画化した本作で、映画オリジナルの登場人物である高校生の隆太を演じているのは、「仮面ライダー」シリーズやミュージカル「テニスの王子様」などで注目を浴びる22歳の新鋭・村井良大(りょうた)。つい数年前まで10代だったとあって、さぞや村井さんの頭の中も悩みに満ち溢れているだろうと思いきや…。
“ウツの坊主の話”…「味わいがあって気に入った」
まずは最初に脚本を読んだときの物語の印象を尋ねると「あぁ、これはウツになりそうな作品だな…って少し暗くなったことを覚えています(苦笑)」とストレートな答えが。悩める坊主が主人公、という時点でなんだか暗い物語をイメージしてしまうが、どこか目が離せない、不思議な魅力を持った物語でもある。