松本清張の不朽の名作「天城越え」の映像化が決定。生田絵梨花が、主人公・ハナ役に挑む。
昭和31年。静岡県で印刷業を営む望月次郎は、定年間近の田島刑事から「刑事捜査資料」の印刷を頼まれる。その犯罪事例の中には、時効を過ぎた土木作業員殺害事件の記述があった。
事件には、「修善寺の遊女」大塚ハナと、天城トンネル付近で目撃された少年が関わっていた。資料を読み、望月の封印していた記憶がよみがえる。「少年」は31年前の自分だった。
そして大塚ハナは、初恋の女性だ。
当時、はだしのまま手に手をとって天城峠を越えた、数時間の恋。夢のような時間のあと、自分と別れたハナは土木作業員を殺し、逮捕されたのだった。警察署での田島の強引な取り調べに、殺害を自供したのはハナ。だが、不自然な自供ではあった。そしていま、田島刑事はなぜ望月を訪ねて来たのか――。
松本清張版「伊豆の踊子」といわれる「天城越え」は、これまでも映像化によって数々のスターを生みだしてきた。
忘れられない、たいせつなひとが、もし自分の罪をかばっていたら――SNSで簡単に画像を拡散できてしまう時代だからこそ、色あせない記憶の尊さ、そして永遠に消えない贖罪を描く。