東大、酸窒化タンタル(TaON)が高性能な半導体材料であることを発見
やスカンジウム(Sc)といった添加剤を多量に加える必要があった。これらの添加剤は、TaONの電気的な性質を大きく歪めてしまう可能性がある。
今回、研究グループは、試料の形状や添加剤による影響の問題を解決するために、格子定数の一致する単結晶基板上へのエピタキシャル成長によって、アナターゼ型TaONの合成を試みた。試料の合成には窒素プラズマ支援パルスレーザ堆積法を用い、紫外レーザで気化させた酸化タンタル(Ta2O5)と窒素ラジカルをLSAT(La0.3Sr0.7Al0.65Ta0.35O3)と呼ばれる酸化物単結晶上で反応させた。結晶成長の温度や結晶中の酸素量と窒素量の比などのパラメータを最適化した結果、厚さ約40nmのアナターゼ型TaONの単結晶薄膜を合成することに成功した。
合成した薄膜の電気的な特性を評価したところ、結晶中の酸素や窒素をわずかに欠損させることで電子の濃度を調整することができ、優れた電気伝導性を示す半導体であることを発見した。半導体材料における電気伝導性の指標である電子移動度は、室温で約17cm2V-1s-1。透明導電体として応用されているアナターゼ型TiO2と同程度の高い値だった。