ダメ男もハマる成田凌、どんな設定でも絶妙なリアリティと魅力見せる
2019年、映えある日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎新人賞をはじめとして、TAMA映画賞では最優秀新人男優賞を受賞したほか、ヨコハマ映画賞、報知映画賞など数々の映画賞を獲得した日本映画期待の星・成田凌に、ぶしつけながら、クズが似合う俳優賞をさしあげたい。
クズの役が似合う俳優といえば、当たり役『カイジ』が9年ぶりに復活する藤原竜也が堂々君臨しているとはいえ、棲み分けは可能で、藤原竜也はやんちゃ系クズ、成田凌は色気あるクズ。誤解しないでほしいのは、藤原竜也に色気がないわけではない。カイジを筆頭に男臭いクズの役が似合うというだけである。成田凌は女たらし系のクズ役。ミニシアター系ながら多くの観客を呼びロングランした映画『愛がなんだ』(19年)で彼が演じたマモちゃんは最高に色気あるクズだった。けだるそうな感じが堪らないのだ。
『愛がなんだ』のマモちゃんことマモルは、主人公テルコ(岸井ゆきの)と正式に付き合うと約束しないまま都合よく体のつきあいを続けるが、ほかに好きな女性(江口のりこ)がいる。
テルコのような自分に絶対服従の子には強く出て、自分が敵わない女性には逆に服従。こういう世の中にいくらでもいる人物像をつまんなくてださい人物ではなく、みごとに愛らしく演じてみせる。