バンダイ、アンパンマン仕様の幼児向けAndroidタブレット「コドなび!」 - 対象年齢3歳以上、「新しい学習体験を提案」
バンダイは29日、「それいけ!アンパンマン」のキャラクターを採用した、幼児向けのAndroid搭載タブレット「コドなび!」を発表した。
国立大学法人 東京学芸大学と、特定非営利活動法人 東京学芸大こども未来研究所との共同研究により開発した製品で、対象年齢は3歳以上。価格は税込30,240円。玩具店や百貨店、量販店の玩具売場などで10月25日より発売する。
同日行われた発表会では、バンダイの飛田尚美取締役、プレイトイ事業部デピュティゼネラルマネージャーの村瀬和絵氏が登壇し、製品の開発背景や特徴を説明。そして製品の総合監修に携わった東京学芸大学の松田恵示教授が、開発にかかわった経緯、製品のポイントについてコメントした。
○150種類以上のオリジナル学習メニューを収録
「コドなび!」は、デジタルネイティブ世代の子供に向け、バンダイが商品を企画し、学習内容やデザインコンセプトについて東京学芸大学の教授陣、東京学芸大こども未来研究所が総合的に監修を行った7型のAndroidタブレット。タブレットの形状は、パンを味わうように、学びを楽しんで欲しいという願いを込め「パンの形にこだわった」という。
コンテンツとして、あらかじめ、「それいけ!アンパンマン」のキャラクターをモチーフとした、150種類以上のオリジナル学習メニューが収録される。アプリは写真や動画、音声などの採用で、現実世界に近い「よりリアルな学び」を体験できるほか、カメラ機能を使ったアプリや生活習慣を学ぶアプリなど、「バーチャル」と「リアル」が融合した新しい学習体験を提案するという。また、事前に登録した最大4人までの相手にメールを送信できる「こどもメール」アプリも用意する。
保護者用の管理画面「パパママ管理画面」も用意する。「パパママ管理画面」では、子供が遊んだアプリの回数を集計し学習記録としてグラフ化したり、子供が遊んだ学習アプリの内容から子供のタイプを診断する「こども力」の閲覧などが可能。
また、インターネット接続設定や子供のプレイ時間設定、「こどもメール」の設定、アプリのダウンロードなどの各種設定も「パパママ管理画面」で行う。アプリストアは「Appmart」に対応し、Google Playは非対応。なお、「パパママ管理画面」にはパスワードロックが設定され、子供の誤操作を防ぐ。
本体サイズは195×125×22mm、重量は約478g。OSはAndroid 4.4.2で、プロセッサにはcortex-A7(デュアルコア、1.5GHz)を採用する。ディスプレイは800×480解像度の7型液晶で、静電式の5点タッチが可能。カメラは前面30万画素、背面200万画素。加速度センサーも内蔵する。通信機能はIEEE802.11b/g/n。バッテリは3,500mAhのリチウムイオン電池で、駆動時間は約4時間。本体には最大32GB対応のmicroSDカードスロットを備える。
○子供の間でスマートフォン・タブレットが広がる
バンダイの飛田尚美取締役は、「コドなび!」の開発にあたり、子供を取り巻く環境の変化に言及した。「近年スマートフォンやタブレットは急速に拡大し、子供にとっても触れる機会が多い。他者とコミュニケーションするのに切っても切れないもの」とし、子供の世界におけるタブレットの重要性を紹介した。
一方で、保護者にとっては「有害サイトの閲覧や、子供が意図せず課金してしまうなど、考える部分もある」と、デジタル機器を子供に使わせる懸念にも触れた上で、「タブレットは教育の場面でも利用が進んでいる。親も子供も、正しく理解し活用していくことが必要」と語った。
アンパンマンの採用は、同社の「強み」。安心して子供に持たせられる製品を開発できたとする。同社はアンパンマンを採用した子供向け玩具を複数展開しているが、今回の「コドなび!」は、学習教材の最上位機種と位置づけている。
●デジタル機器の影響は賛否両論、「学びの新しい形を家庭に届けたい」
○デジタル機器の影響は賛否両論、「学びの新しい形を家庭に届けたい」
「コドなび!」の開発には、バンダイと東京学芸大学、東京学芸大こども未来研究所という3団体が関わっているが、最初に企画の音頭を取ったのはバンダイとなる。
総合監修に携わった東京学芸大学の松田恵示教授は、「スマートフォンやタブレットが子供にとって身近になっている現状ではあるが、その影響には賛否両論あり、研究も良い面、悪い面の両方がある」と、デジタル機器の教育面での背景に言及。
そのような背景の中でバンダイから「コドなび!」監修の声がかり、「タブレットをいかにプラスに考えていくか。学びの新しい形を、この機会に思いっきりのせこみたい」として、監修にあたった。
例えば、従来の学習では、基礎から応用に発展させるのが当たり前だった。しかし今は情報を活用する力が求められており、フィンランドを中心に、応用から基礎へ、という新しい学びの流れがあるという。「これを何とか家庭に届けられないか」という思いがあったとする。
監修にあたり、松田教授は3つの力点を置いたという。
1つ目は「親子のコミュニケーションを促進する端末であること」、2つ目は「間接的な体験と直接的な体験を結びつけること」、3つ目は「子どもの『あそび』の原点を大切にすること」。
この中で、松田教授は3つ目の「あそび」を最も重視した。松田教授は「遊びは自分の感覚に基づいて、自主的にルールや規範を守って活動していく、生きる原型のようなもの。この道具が子供たちの世界を広げられるよう、力を入れて監修した」と語った。
○タレント・坂下千里子さんのトークショーも
発表会では、2児のママであるタレントの坂下千里子さんも登場し、松田教授とのトークショーも行われた。トークショーの中で、実際に家で「コドなび!」を使ってみたという坂下さんは、タブレットを使った娘から「ママ、これ子供にすっごくいいね」と言われたというエピソードを披露。今までの生活では、タブレットやスマートフォンを子供に渡してはいないが、「実際に使っている友人もいて、とても便利だと思う」とコメントした。
松田教授は、「実際に2歳、3歳の子供はタブレットがあったら自分でぐいぐい使う。
親としては不安で、いいのかなと思うが、『タブレットをどう使うか』ということを、皆で考えると良いと思う」と、子供のタブレット使用について感想を述べた。