「ラフ集合」が新たなビッグデータの扉を開く-TEDが挑む食に対する感性分析
同サービスは、登録ユーザーの趣味・嗜好に合わせて、最適な献立を提案するというもの。これだけ聞くと、従来のビッグデータを用いたサービスと思えるが、実は大きく異なる点がある。それはアルゴリズムに「ラフ集合」を用いたところだ。
こと食というものは、人それぞれによってまったく感性が異なる。同じ食事内容であっても、作りたいイメージはバラバラで、おいしそうと思える定義も異なってくる。それが同じ人であっても、今日は濃い味が良いが、明日は薄味が良い、といった違いも生じる。そうなると、一般的に多くのWebサイトなどで用いられる「協調フィルタリング」を用いたレコメンドシステムでは限界があり、新たな学習法を活用する必要があった。
ラフ集合は対象データとして、あるユーザーの行動履歴データと各レシピの裏側に用意された色や匂いといった属性情報をすべて見て分析し、そのユーザーがどういった思考をしたのかについて、行動結果や行動の中に含まれたアイテム属性から決定した条件を学習することで、有機的に新たな価値を生み出す手法だ。
また、振るい落とし方式ではないため、行動履歴の情報が少なくても、レコメンデーションの精度は変わらないという。
今回、同社が献立プッシュ配信サービスに同アルゴリズムを採用した背景には、「いろいろな目的で食べたいというニーズに、単一目的志向ではなく、選択を楽しんでもらうために取り入れた」という食ならではの理由がある。さらに、「一般的なビッグデータ解析では、少数の飛びぬけたデータはノイズとして排除してしまうが、人間の感性として、ときどき変わったものを食べたいというニーズは確実に存在しており、その結果、そのユーザーにマッチするべき献立が見られなかったり、といったことも多い。ラフ集合ではそういったビッグデータの前処理のノイズ削除処理を行わないでよく、そうしたノイズを逆に生かすことができる」とする。
ラフ集合の考え方を簡単と説明すると、あるデータで作られた集合の中の特徴をラフに把握しようというもので、値と属性のセットを組み合わせて感性を好みの共通点としてざっくりと抽出することを可能とする。協調フィルタリングのような行動履歴の量よりも、その見られた内容を重視するといった具合で、矛盾を含むデータを適用しやすいため、レコメンデーションに幅を持たせることが可能だ。
そのため、食だけでなく、さまざまなサービスにも応用展開がしやすいという。
同社では「レコメンドサービスとして事業としてラフ集合を用いているのは我々以外にはほぼ居ないと思っている」と、先進的な取り組みであることを強調。何をもってユーザーの感性を読んでいくか、という部分については改良の余地があるとのことで、メタデータの取得範囲のチューニングなども容易に行うことで感性のデータに幅を持たせることも可能だとする。
同アルゴリズムはWeb APIとして提供できる体制をすでに整えているため、今後は、フロント部分を他社が開発し、それに組み合わせて活用してもらうといった、自社以外での活用を進める取り組みを行っていくとしている。
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