KDDI、米新興セキュリティ企業と提携 - 紛失iPhoneの探索サービスなど提供
米Lookoutは、2007年にカリフォルニア州サンタクララバレーのシリコンバレーで設立されたモバイルセキュリティソフト開発会社。世界170カ国で5000万ユーザーを獲得しており、日本でも200万ユーザーが利用するなど、既存セキュリティ企業に知名度は及ばないものの、多くのユーザーを獲得している。(関連記事:「日本語版リリースから1年で100万DL - スマホセキュリティソフトのLookout」)
世界400を越えるキャリアと協力関係を構築しているが、日本国内ではKDDIが初めて。KDDIは一定期間、Lookoutと独占的に取引を結ぶ契約を交わしているという。特に今回、KDDIと独占的な契約を結んだ理由は「携帯キャリアによる電話サポートとの連携」がある。
今回提供される「Lookout for au」では、iPhone向けにもアプリが提供されるが、iPhoneでは世界初となる「電話サポートによる携帯電話の位置検索サービス」の提供がある。
これまでもAndroid向けには、KDDIが2011年から提供している「3LM」アプリによって、ユーザーがスマートフォンを紛失した場合でも、サポートセンターに電話するだけで端末の位置を検索するサービスを提供していた。
しかし、iPhone向けについては、サードパーティー製アプリをプリインストールできないほか、OS標準機能として位置情報をWebから確認できる機能があったことから、サービスは提供されてこなかった。
KDDI 代表取締役執行役員 専務の高橋 誠氏は、「スマートフォン浸透率が約半数にまで到達し、レイトマジョリティ層にまで広がりつつある」と現状を分析した上で、「これからは、スマートフォンを理解しきれないユーザーの方々にも広がっていく」と話し、使い方がわからないユーザーに対して「簡単に紛失した端末を探せる機能」を提供することが重要と語る。「日本は諸外国に比べてモバイルの世界が進んでいる。スマートフォンしか持っていないという人も多いからこそ、PCを持っていない場合でも、簡単にキャリアが位置情報を検索できるようにしたかった」(高橋氏)
Lookoutについて高橋氏は「シリコンバレーで(良いテクノロジーを持つ)ベンチャー企業を探しているが、それだけではなく、KDDI研究所も、その技術力に目を付けていたのがLookoutだ」と語り、先進的なモバイルに特化したセキュリティソフトに魅力を感じ、今回の提携に至ったようだ。
位置情報の検索サービス以外にも、セキュリティソフトの根幹であるマルウェアアプリの検知や、電池が切れる直前に位置情報を記録する「シグナルフレア」、端末の遠隔ロック、遠隔データ消去などの機能が利用できる。
auスマートパス加入者に対して提供されるサポートセンターによる位置検索と遠隔ロック(ロックはAndroidのみ)サービスだが、スマートパス加入状況はサポートセンター側で確認するため、ユーザーが個別にアプリ側で設定する必要はない。機能の中には、個別にLookoutの利用登録が必要になるものもある。
○MNPは好調 - KDDI 高橋氏
会見後に記者質問に応じたKDDI 高橋氏は、iPhone 6発売後の状況について「MNPは凄く良い調子」と話した。
「今期(4月以降)で9月の数が一番良く出ている。(世間的に料金などが横並びでキャリア感の差別化が難しいのでは?との問いに)WiMAX 2+といった部分が評価されていると思う」(高橋氏)
各キャリアはiPhoneの下取りキャンペーンで競争を行なっており、かつてのキャッシュバック競争の二の舞ではないかと見る趣もあるが、こうした問いに対して高橋氏は「下取りキャンペーンの競争が望ましいとは思っていない」と語る。その一方で、下取りキャンペーン自体には「これまでの機種を使っていただいたことに対するキャンペーンであり、顧客満足度を狙っている」とのことで、MNPを対象にした下取りキャンペーンが特に望ましくないと考えているようだ。
また、今回の提携はセキュリティ分野に対する取り組みが、今後差別化要素に繋がるとKDDIでは考えているようで「こういうレイヤーで顧客に対する取り組みを進めていくことは、地道な活動が必要だ。安心安全を求めるならauというブランド構築を図っていくことが重要。(他社も後追いするのではとの問いに)追随してくるとは思うものの、少なくともLookoutと手を組むことはできない。サービスの利用状況は、半年から1年、じっくりと様子を見ていきたい」と高橋氏は語っていた。
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