"最強"湘南ベルマーレを誕生させた男2人の四半世紀前のロマン - J1昇格秘話
9試合を残して史上最速となるJ1昇格を決めた湘南ベルマーレ。ホームにおける無敗記録を含めた異次元の強さの原点はいまから四半世紀以上も前、早稲田大学の学生だった大倉智社長と曺貴裁(チョウ・キジェ)監督が共有したロマンにさかのぼる。
○2人の運命を決定付けた出会い
第一印象は強烈だった。時代が平成に移る数カ月前の1988年4月。東京・暁星高校から早稲田大学に入学し、体育会である「ア式蹴球部」の門をたたいた大倉は、保谷市(現西東京市)東伏見にある練習グラウンドや寮で目の当たりにした、1学年先輩の群を抜く存在感に感銘を受けずにはいられなかった。
いわゆる「いじられキャラ」で、誰からもかわいがられる。ピッチの上での実力は申し分ないし、頭脳も明晰(めいせき)で、話は常に理路整然としている。何よりもサッカーに対する情熱が半端ない。
気がつけば、こちらの懐にスッと入り込んでくる。
京都・洛北高校出身の曺と出会ってから実に四半世紀以上の時間がたっても、大倉が曺の人間性に対して抱いた憧憬(しょうけい)の思いは大学時代とまったく変わらない。
「まさに学校の先生ですよね。いまどきいないタイプ。僕は思うんですよ。