インフラ改善で顧客満足度を向上させる! シャトレーゼのWeb戦略とは?
契約農家から毎日新鮮な素材が供給される仕組みや、南アルプスの白州名水を自社で汲み上げ使用したり、全国の旬の素材をふんだんに取り入れたりと、”パティシエが驚く”ほどのこだわりを見せながらも、各地の店舗へ自社工場から直接商品を届けるシステムをいち早く確立しており、『お値打ち』かつ『手軽』に質の高い菓子を味わえることで人気が高い。
○ECサイトと全国の店舗をつなぐO2Oマーケティング
同社では、インターネット通信販売にも注力し、2008年に「シャトレーゼオンラインショップ」を開設している。最近では、通信販売だけでなく、Webサイトを通じて商品を予約して、近隣の店舗で受け取ることができるサービスも開始した。ユーザーは送料が無料になることに加えて、店舗で受け取れる安心感もあり、フランチャイズ店にとっては集客の一助になる。
この新サービスの開始に伴って、シャトレーゼでは会員制度についても見直しを図っていた。2004年から各店舗で使えるポイントカードを導入し、約900万人もの会員を集めている一方で、ECサイトでも会員制を導入し、5万人ほどのユーザーが利用していた。ところが、これらの会員制度は独自に運営されており、ポイントの共通化などが図られていなかったのだ。
情報システム部 部長の丹澤協氏は、「顧客情報システムを刷新してWebサイトと連動させ、新会員制度と新しいポイントカード『カシポ』でO2Oマーケティングを強化することで、店舗への来客数を増大させるとともに、ECサイトの販売比率を上げていきたいと考えています」と述べている。
同社では、Webサイトだけでなく、予約やクーポンが利用可能なスマートフォンアプリ(iPhone/Android)の提供も開始しており、インターネット販売への注力がうかがえる。
○サーバースペックとネットワーク環境の改善を一手に解決
シャトレーゼでは、NTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)の共用レンタルサーバー「WebARENA SuiteX」を利用してWebサイトを運営していたが、前述の会員制度のほかにも、システム上に不安を抱えていた。通常の運営ではほとんど問題はなかったが、人気の菓子メーカーだけに、アクセス集中によるピーク時のパフォーマンス低下が懸念されていた。
「あるテレビ番組で当社が紹介されたとき、Webサイトへのアクセスが集中してサーバーがダウンし、Webページがまったく表示されない状況に陥ってしまったことがありました。
せっかくのテレビ放映なのに、大きな機会損失でした。これを繰り返さないためにも、サーバーの増強が必須でした」と、情報システム部 システム課 課長の雨宮広季氏は語る。
そこでシャトレーゼが選択したのは、NTTPCの「WebARENA専用サーバーサービス」だ。ユーザーが専用できるサーバーインフラを、2モデル7タイプのメニューから自由に組み合わせられるため、共用レンタルサーバーよりもハイパフォーマンスなシステムをリーズナブルに利用できる。
「どれほどのスペックが必要か、難しい検討でした。NTTPCのサービスは以前から活用しており、インフラとしての安定性は確信していましたが、非常にきめ細かい提案をしてくださって、より信頼性が高まりました。今では、アクセス集中しても問題のないパフォーマンスを実現できています」(丹澤氏)
WebARENAの専用サーバーを選定した最大のポイントは、ネットワーク網を含めたインフラ全体をワンストップで任せることができるという点だ。
前述したように、同社は全国各地に直営・フランチャイズ店舗を持ち、POSシステムを通じて会員連携や情報共有を行っている。
同社では、NTTPCのネットワークサービス「Master’s ONE」のVPNサービスを活用し、本社工場と各地の工場・店舗と顧客情報システムなどを接続し、連携を図っている。したがって、WebARENAの専用サーバーであれば、同一データセンター内での構内接続によって、既存のネットワーク環境を変更せずにサーバー拡張が行える。
システムの運用を担当しているMinoriソリューションズ 信越本部 松本開発部のマネージャー 村山聡氏は、WebARENAの専用サーバーを次のように評価する。「よい意味で”存在感のない”サービスであると感じています。管理にまったく手間がかからず、当社の担当者も驚いています。シャトレーゼ側へ報告すべきことも少ないため、本来のWebビジネスや社内システムの運用に注力できます」(村山氏)
○将来の拡張を見すえて、インフラ整備をワンストップで任せられる魅力
シャトレーゼでは、今後もNTTPCのインフラを最大限に活用し、さまざまな取り組みを計画している。その一つとして、各工場やゴルフ場などとの拠点間通信に専用線を用いているところを、Master’s ONEに統合したいという思いもある。
システム全体での最適化、拡張性が求められる昨今において、データセンターから拠点間通信、インターネット接続まで、およそインフラ部分についてはすべてをNTTPCに任せることができるメリットは非常に大きい。
「以前より、顧客情報を販売につなぐBI(ビジネスインテリジェンス)は実践していましたが、顧客情報システムが統合され、Webサービスと連携したことで、一層の強化が図れると考えています。いっそう、顧客ニーズにマッチしたおいしい菓子をお届けできるように、よりよいサービスの提供を目指していきます」(丹澤氏)