2014年10月8日 11:07
産総研と広島大、レアメタルレスで低毒性元素からなる熱電変換材料を開発
産業技術総合研究所(産総研)と広島大学は10月6日、天然硫化銅鉱物の一種コルーサイトと同じ結晶構造の人工鉱物「Cu26V2M6S32(M=Ge、Sn)」を合成し、400℃付近で高い熱電変換性能を示すことを発見したと発表した。
同成果は、広島大学大学院 先端物質科学研究科の末國晃一郎助教、高畠敏郎教授、産総研 エネルギー技術研究部門熱電変換グループの太田道広主任研究員らによるもの。詳細は、アメリカ物理学会誌「Applied Physics Letters」(オンライン版)に掲載された。
コルーサイトCu26V2M6S32は、Cu(銅)とS(硫黄)を主成分とし立方晶(等軸晶)系の結晶構造を持つが、天然のCu26V2M6S32はMとして毒性元素のAs(ヒ素)を含んでいる。また、Mの中に含まれるAs、Sb(アンチモン)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)の割合がさまざまであるために、熱電特性が一定ではないと考えられている。そこで今回、AsとSbを含まないM=GeとM=Snを人工的に合成して熱電特性の評価を行った。
まず、構成元素を1000℃以上の高温において直接反応させ、次に、その粉砕試料を加圧しながら高温で焼結させて高密度試料を得た。