憧れの"秘密基地"みたいな「小屋」に大人も子供もワクワク! - 「小屋展示場」イベント
SuMiKaは4~12日、小屋をテーマにした暮らしの見本市「小屋展示場」を東京都・虎ノ門で開催した。同イベントは、小屋を「住宅展示場」のように展示し、小屋のある暮らしを体験してもらう、というもの。
イベントが開催された7日間の来場者数は1万2,180名。リタイア後の趣味を探す団塊の世代、これから家を購入するであろう20代カップルや30代の子供連れなど、幅広い世代が会場を訪れていた。来場者からは「どれも個性豊か。自由で子供もワクワクしていた」「秘密基地みたいで魅力的」「DIYが好きなので、小屋作りにもチャレンジしたい」という声が寄せられた。
イベント主催のSuMiKaによると、シェアハウスや改装可能な賃貸物件の増加など、消費者の家づくりの選択肢が広がる中で、家の「最小単位」である小屋へ注目が集まっているという。イベントPRを担当するBAUMの吉本氏は、「住宅の原型である小屋を通じて、多くの人に自分らしい暮らし、自由な家造りについて考えてもらう機会としてほしい」とコメントしている。
小屋の出展企業は工務店が中心だが、大手住宅メーカーのタマホーム、アウトドアメーカーのモンベル、総合専門小売業の東急ハンズ、Webメディアのライフハッカーなど実に様々。どの小屋も各社が得意とする技術・製品が盛り込まれており、「自由な家造り」の参考にしたくなるアイディアでいっぱいだ。本レポートでは、展示されていた小屋の一部と会場内の様子を紹介する。
○「小屋」×「蚊帳」=「KOYAKAYA」
ウィズハウスプランニングは「自然と共生する家づくり」をコンセプトに、国内の杉・ヒノキなどの自然素材を多用し、健康に配慮した家づくりを実施している工務店。
同社が展示する「KOYAKAYA」は、その名の通り2階部分に「蚊帳」が付いている小屋。1階はハンモックの付いたオープンスペースで、2階は床に竹材を使用した蚊帳の部屋となっている。ひもでつながれた細めの竹は、「乗って大丈夫かな…」とちょっと不安になるが、「2~3人は同時に乗っても大丈夫」とのこと。はだしで竹を踏みしめると、ひんやりとした素材感が楽しめる。
風通しも非常に良く、夏の夜に虫の声を聞きながらうたた寝したくなるような小屋だ。○趣味に合わせてカスタマイズ「ハウスインナーボックス」
「ハウスインナーボックス」はクルー(48PRODUCT)+森田建築設計+カントリーベースによる展示。この小屋の特徴は、自立式空間構成フレーム「ハウスインナーR」に好みの専用パネルを付けることができるという点だ。
展示されていた「ハウスインナーボックス」は「2輪車仕様」。天井から自転車をつるしたり、ヘルメットやハンドル、工具を管理する有孔ボードなどが取り付けられるようになっている。自分の趣味に合ったパネルを付けることで簡単にカスタマイズできるので、趣味に没頭するための部屋が欲しい人におすすめだ。
○畳の香りでいやされる「Go-sui 癒さない寝床」
「Go-sui 癒さない寝床」は、ワラを練り込んだ外壁や銅板の屋根、琉球畳などの天然素材と和風建築の技術を存分に使った「茶室」のような小屋。展示元の建栄は、「技術を持った職人が減って和室が廃れていく中で、新しい和風建築の1つになってほしい」と語る。
名前の「Go-sui(午睡)」は、うたたねという意味。「癒やさない寝床」とは、「癒やさないってどういうこと?」と思って中に入るとすごく癒やされるというように、逆の名前をつけることで「癒やし効果」をより意識させるためだという。実際は「とても癒やされる、まどろみの小屋」ということらしい。確かに、4畳半という小屋ならではの程よい狭さと畳の香りが体の緊張をほぐし、いつの間にか寝入ってしまいそうな心地よさである。
○トイレ? いいえ、小屋です「In&Out&Go(号)」
「小屋」の定義を再確認をせずにはいられない「In&Out&Go(号)」。何しろ、小屋の中には「トイレ」しかないのだ。
展示元のライフハッカー日本版 編集長 米田智彦氏とデザインムジカ 安藤僚子氏によると、この小屋は「茶室のように、日本人に備わっている狭い空間に美と機能を収めるセンスと、ネットに接続された現代人の内なる(怠惰な)欲求、つまり『手が届く範囲にすべてがあり、長居できる空間が欲しい』『自分だけの書斎やオフィスを持ちたい』という願望を統合して表現したもの」だという。
中にはウォッシュレット完備のトイレと壁に映像を映し出すプロジェクター付き。
トイレに籠もって考え事や仕事をしたい人にピッタリだ。小屋の外側は屋上緑化ならぬ壁面緑化がされている。さらに、トイレは管で植木鉢につながれており、出したものを自然に還せるよう設計されているという(現時点ではつながっていない)。これぞ究極のエコな小屋と言えよう。
●1人で? 息子と? 小屋は誰とでも楽しめる!
○世界最小級? 室内にも置ける「1畳house」
バウムと夏水組の「1畳house」は、0.5畳~1畳というサイズと5~6万8,500円(税別)というちょっと頑張れば買えそうな値段設定が魅力。別売りのタイヤを取り付ければ簡単に移動させることができ、屋外だけでなく室内に置いても楽しめる。
カスタマイズを前提としたシンプルな作りのため、壁紙を貼ったりペイントしたり窓枠を設置したりと、思う存分改造できるのも嬉しい。DIYの初心者も、自分だけの空間づくりを楽しむことができるようになっている。
○こんな秘密基地が欲しかった!「COBACO」
桃山建設の「COBACO」は、小さな木箱の秘密基地だ。趣味の部屋やショップ、露天風呂(!?)など、ユーサーのニーズに合わせた小屋を提供したいという同社。今回の展示では「オヤジと息子の親子部屋」がテーマとなっている。
壁には、工具や遊具をぶら下げられる有孔ボードや水槽を置く棚を設置。広々としたデスクの横にははしごがあり、ロフトベッドへと続く。小屋のサイズは4.5畳だが、信じられないほどの充実ぶりだ。担当者によると、「家造りの技術を生かし、小さいからこそきちんと作り込みました。年代問わず子供心が戻るような、思い切った秘密基地ができたと思います」とのこと。
○コミュニケーションツールにもなる「みんなでつくる、小さな暮らしの実験場」
鈴木菜央(greenz.jp 編集長)+YADOKARIによる「みんなでつくる、小さな暮らしの実験場」は、実際に「小屋」を作ってみたいという人たちの手によって作られたもの。壁にはカラフルな廃材、ロフトベッドの柵には木の枝を使うなど、様々な「実験」を通して作られている。
大量消費時代から、身の丈にあった「小さな暮らし」を選択する人が増えてる現在、暮らしをシンプルにすることに興味を持っている人が増えている。とはいっても、いきなり小さな暮らしはできないので、「小屋」でいろいろ実験をしてみようというのがこの小屋のコンセプト。小屋作りの実験結果はもちろん、建てるプロセスも予算も、すべて共有しているという。また、小屋を作っている過程で、参加者同士のコミュニケーションが図れるだけでなく、地域のコミュニティの中心ともなれる。
小屋は、「簡単な作りの小さな建物」という意味だ。しかしながらその狭さやシンプルさこそが、小屋を魅力的な場所に変えるアイディアの源となる。
限られたスペースだからこそ、自分の好きなものだけを詰め込んだ、コンセプトが明確な空間を作ることが可能なのだ。さらに一戸建てを買うよりも低予算で作ることができるという点も魅力的ではないか。というわけで、あなたも自分だけの小屋作りに挑戦してみてはいかがだろうか。
また、本レポートでは紹介しきれなかったが、会場には他にも7種類の小屋が展示されていた。以下は未紹介分の小屋7棟の全体と詳細写真。
○タマホーム「籠-KOMORU」
○ヒロ建工「木に住む家 Kisumu」
○日南鉄構「Cスタイルハウス」