Dropbox創業者が来日 - 日本の中小企業に対し、知名度と利用の拡大を目指す
冒頭の挨拶としてドリュー氏は、この1年を振り返り、「新しいサービスのローンチや新オフィスの設立などで多忙な時期であった。しかし、私たちは、ユーザーの大事な情報を保管し共有をサポートするという大きな課題を解決している自負がある」とし、「ユーザーが簡単に利用できるシンプルなサービスを今後も提供していく」という方針を明確にした。
同社は現在、個人向けのクラウドサービス「Dropbox ベーシック」と「Dropbox プロ」、法人向けの「ビジネス向け Dropbox」を提供する。ユーザーは全世界で3億人にのぼり、同数字は前年比の200%の成長率だという。同ユーザー数の7割は米国外で、日本では、およそ800万人が利用する。
デニス氏によると「ビジネス向け Dropbox」は、企業のIT部門による制御やセキュリティ面を特に考慮し、重いデータを社内外問わす共有できる点に優位性があり、10月時点で、8万社に導入実績があるという。
同氏は、「スポーツ用品を扱うUNDER ARMOUR(アンダーアーマー)では、世界の4カ所のデザインセンターと全世界の製造拠点において、データを共有している」と事例を述べた。
○中小企業にこそ、使ってほしい
同社は、米国に2つのオフィスを構えており、日本は世界で3カ所目のオフィス所在地となる。同氏は、初の海外拠点として日本を選んだ理由を、Dropboxにとって重要なマーケットだからだと説明する。
その背景の1つは、日本の労働者の約7割が従業員数500名ほどの中小企業に勤務することだという。デニス氏は、世界のなかでも共有機能を最も利用しているのは日本人だということを明かしたうえで、シンプルであることや信頼性を重視する同社は、日本の中小企業に対し、情報共有の簡易さで貢献できると考えていると説明する。
「Dropboxは、一般人が先行してツールを利用し、次に中小、大企業へとフェーズが移る『ITのコンシューマライゼーション』サービス。他国と比較し、中小企業に勤務する人口の多い日本では、この現象が起こりやすいのではないかと我々は考えている」(河村氏)
Dropboxのほか、GoogleやEvernoteなども日本へ参入していることをどのように考えるのかという記者からの質問には、「iPhoneと同じだ」とデニス氏は答える。
「従来は、価格競争でその優位性は決まっていたが、iPhoneのように、ユーザー体験が優れていれば利用される。Dropboxも同様に、ユーザーがいかに使いやすいかを考え提供している」(デニス氏)
同社は今後、日本市場において、「ビジネス向け Dropbox」の利用拡大を狙う。全世界のユーザー3億人のうち、800万人の日本人ユーザーというのは、比率にすると約3%ほど。まずは、パートナーなどと協力し、知名度を上げることが最優先課題だという。具体的な目標数は明かされなかったが、Web経由の流入を増やすための施策を、順次行っていく方針だ。