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電力系NCC各社の有志がVMware製品を活用! 全国規模のテストベッド環境オペレーションを実現

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電力系NCC各社の有志がVMware製品を活用! 全国規模のテストベッド環境オペレーションを実現
●電力系NCC各社の技術者有志が共同検証試験に至った背景と目的
ヴイエムウェアの仮想化ソリューションは、いまやクラウドコンピューティングの標準的な基盤技術として様々な形で活用されている。そんな中、全国各地域で通信事業を展開する電力系NCC(New Common Carrier)各社の技術者有志が、サーバ仮想化製品「VMware vSphere」のライブマイグレーション機能の1つである「vMotion」を活用し、各社のデータセンター間をつないだ仮想基盤上に構成したクラウドテストベッドにおいて、オペレーション連携を図り共同検証試験を成功させた。こうした技術検証が全国規模で行われたのは前例がないのではないか。そこで各社の技術者有志に集まっていただき、共同検証試験の目的や背景、具体的な取り組みについて語り合っていただいた。

○電力系NCC各社の技術者有志が共同検証試験に至った背景と目的

電力系NCC各社の技術者有志が共同で行った検証試験は、「VMware vSphere」の「vMotion」によって仮想サーバを各社のデータセンターへ順次移行させるというクラウドテストベッド上でテストオペレーション連携を図るというものだ。標準的なvMotionを使用したパターンと、「VMware vSphere」のバージョン5.1からvMotionの機能として拡張された仮想サーバのデータボリュームも含めたライブマイグレーション(Cross-host Storage vMotion)のパターンで、2014年1月から4月にかけて行われた。

この共同検証試験に至った背景と目的について、エネルギア・コミュニケーションズの武田洋之氏はこう話す。

「電力系NCCは従来、主力サービスである回線系サービスについては、各社間で綿密な技術連携を図ってきましたが、新事業分野であるクラウド技術については各社それぞれが技術力向上に向けて取り組んでいる状況であり、各社間の技術連携などの取り組みはありませんでした。
そこで、まずはクラウドに関連する技術について各社の技術者同士が情報交換を行い、技術力向上にむけて取り組むための各社間の技術的連携の機会が必要なのではないかと考え、技術者コミュニティのような形で情報交換を始めました。その取り組みの中で、各社ともにクラウドの基盤技術としてvSphereを利用していることがわかり、技術検証という意味でvSphereを活用して共同で何かやろうという話が持ち上がって検証試験を行う運びになりました」
また、北海道総合通信網の小倉義之氏は、「同じ電力系NCCということで、クラウド技術に対するアプローチも似ていたことから、このコミュニティが各社の技術者を育成する場にもなると考えました。とくに共同検証試験は、普段の自社ラボ環境内から全国規模のテストベッド環境の世界に飛び出すきっかけとなり、お互いの技術の腕を振るう場になったと思います」と、技術者育成も目的の1つだったと語る。

○vMotionで仮想サーバを各社のデータセンターへ順次移行

では、共同検証試験として、vSphereのvMotionによって仮想サーバを各社のデータセンターへ順次移行させることにした背景には、どのような経緯があったのか。

「各社ともにクラウドの基盤技術としてvSphereを使用していたので、そのvMotionを活用すれば全国規模で仮想サーバをどこのデータセンターにも移行できるはずだと。各社が技術連携してこそ実現する全国規模の検証試験なので、そこは技術者として大いにモチベーションが上がりました」(小倉氏)

「全国各地のデータセンター事業者をまたいで仮想サーバをライブマイグレーションしてサーバを稼働させるなどといったスケールの大きな検証試験は、おそらく前例がないでしょう。vSphereが基盤にあったからこそできたわけですが、私たちもワクワクして作業を行うことができました」(ケイ・オプティコム 伊達展成氏)

「もともと各社がクラウド基盤技術としてvSphereを使用していたことから、あまりコストをかけないでも全国規模で検証試験ができるのではないかということも、検証試験の実施に踏み切った大きなポイントだったと思います。こうした取り組みはコストを抑えることも大事な要件ですから」(中部テレコミュニケーション 津野幸司氏)

●各社の技術者有志は何を思い、どう取り組んだか
○各社の技術者有志は何を思い、どう取り組んだか

こうして始まった共同検証試験。
各社の技術者有志は何を思い、どう取り組んだのか。

「試験の実施は私どもが起点になりました。まずは共通のネットワーク基盤が必要なので試験用の閉域網を構築し、各社のvSphereを同一のクラスタに接続しました。vMotion用の仮想サーバは、情報共有のためwebサーバ(CMS)を構築し、仮想サーバをリレーする方式で検証を開始しました。」(北海道総合通信網 上戸優一氏)

「最初にvMotionによるライブマイグレーションにより、仮想サーバの受け手となったのは私どもです。仮想サーバ上に構築したwebサーバには確か、北海道のウニの写真が貼り付けてありました。それ以来、各社ともそのwebサーバにご当地ならではの写真を貼り付けて転送するようなりましたね」(北陸通信ネットワーク 和田章吾氏)

「仮想サーバには、テストベッド環境のパフォーマンス試験結果などログとして残すため、写真のほか様々な情報を載せていましたね」(小倉氏)

「そうした形で順次移行していく中で、各社データセンター間のネットワーク往復の遅延時間(RTT)とvMotionに要する時間、切り替わりの際のパケットロスなどを記録していきました」(上戸氏)

「テストベッドの一部は、広帯域な閉域網でつながっており、標準的なvMotionだけでなくCross-host Storage vMotionについても短時間で移行できたという結果も残せました。RTTについても想定した通りであり、今後の検討に生かせるのではと感じました」(エネルギア・コミュニケーションズ 曲渕勝氏)

「私どもと中部テレコミュニケーションさんとの間では、ネットワークの出入り口にそれぞれWAN最適化装置を試験的に設置して検証試験を行いました。
この装置を有効にした場合と無効にした場合の両方で測定し、非常に興味深い結果を得ることができました」(九州通信ネットワーク 三小田仁氏)

「九州と名古屋との間は遠距離だったことから、武田さんからWAN最適化装置を使ってみてはどうかとのお勧めがあり、せっかくの機会なので試してみましょうということになりました。三小田さんのおっしゃる通り、非常に興味深い結果を得ることができました。普段の検証試験などでは、このような長距離での試験はなかなか実施できないので、私自身、大いに勉強をさせていただきました」(中部テレコミュニケーション 大島和也氏)

「本来、WAN最適化装置の設計や取り扱いは非常に難しく、当初はオペレーションが複雑化し、難航するのではと少々心配していたところもあったのですが、結果として非常に興味深い検証試験結果を得ることができたのは三小田さんと大島さんの高度な技術力があったからこそと思っています。これによって遠距離区間の対策について1つの解決策が見つかったと考えています」(武田氏)
「WAN最適化装置については、私どもでも試しに使ってみたことがあるのですが、グレードの高いものになると、どうしてもコストがかさんでしまいます。そのため、パフォーマンスとコストのバランスをどう考えるかというのも難しいところがありますね」(和田氏)

「どう折り合いをつけるかは考える必要がありますね。ただ、今回の検証試験ではそれなりのパフォーマンスを示すことができたと思います。vMotionによる仮想サーバの遠距離でのライブマイグレーションについては、ヴイエムウェアさんが発信しておられる情報でも時々取り上げられていますが、机上の情報だけでなく、実際に検証を行うことにより挙動を確認できたことは非常に価値があると考えています」(大島氏)

「様々なパターンにも取り組んでみた今回の検証試験ですが、何と言ってもvMotionによる仮想サーバのライブマイグレーションによって、どこのラボにもない全国規模のテストベッド環境を実現できたことが最大の成果だと思います。今後はこのテストベッド環境を活用して、新たな技術検証を各社共同で引き続きチャレンジしていきたいですね」(小倉氏)

○各社の技術者有志が語るVMwareのテクノロジーへの今後の期待

このように各氏の発言からは、共同検証試験への熱い思いがひしひしと感じられた。
最後に、各社が共通のクラウド基盤技術として使い続けているVMwareのテクノロジーへの今後の期待について語っていただいた。

「ヴイエムウェアさんが掲げておられるSDDC(Software-Defined Data Center)およびハイブリッドクラウドといったビジョンに基づいた新しい技術が今後もどんどん登場してくるので、私たちも今回作り上げたテストベッド上で積極的にそうした技術に取り組んでいきたいと考えています。一方で、私たちが今回の検証試験で得た結果なども、今後のサービス品質や機能の向上などに役立てていただければと思います」(伊達氏)

「ICT市場における技術変化のスピードはこれまで以上に加速していくので、この技術コミュニティの活動を通じて私たち技術者は一層連携を深めていく必要があると感じています。ヴイエムウェアさんには今後とも力強くサポートしていただきたいと考えています」(津野氏)

「クラウドに関わる技術者として、サーバの進化とネットワークの進化をどう結びつけていくかが今後の最重要課題となってくるでしょう。その解決策のひとつとして、ネットワーク仮想化製品であるVMware NSXに期待しており、検証など積極的に取り組んでいきたいと考えています」(東北インテリジェント通信 高橋文男氏)

「SDDCもハイブリッドクラウドも、これから全国規模に広がっていく中で、私たちも技術的な観点から積極的にトライしていきたいと考えています。ヴイエムウェアさんとはぜひ、今後も相互に技術力向上などメリットのある緊密な連携を図れるパートナーであり続けたいと考えています」(武田氏)

VMwareのテクノロジーを駆使する電力系NCC各社の技術コミュニティの取り組みが、今後も大いに注目されるところである。

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