テレビ事業が2四半期続けて黒字もモバイルの収益悪化で最終損益△1,360億円 - ソニー、2014年度第2四半期決算
ソニーは10月31日、2014年度第2四半期(2014年7月1日~9月30日)の連結業績を発表した。四半期単独の売上高は1兆9,015億円と前年同期比7.2%増となったものの、営業損益は△856億円(損失)で前年同期より995億円減少、最終損益(「当社株主に帰属する四半期純利益」という)は△1,360億円と大幅に悪化した。事前にアナウンスされた通り、モバイル・コミュニケーション(MC)分野における将来キャッシュフローの見積り減少による営業権の減損損失1,760億円を計上。通期での連結業績見通しも、7月の第1四半期業績発表当初より大幅に下方修正された。
なお、第1~第2四半期の累計期間ベースでは、売上高が3兆7,114億円(前年同期比6.5%増)、営業損益が△158億円、税引前利益が△216億円、最終損益が△1,092億円となっている。
セグメント別では、MC分野と"その他"分野を除く全てにおいて売上高、営業損益ともに改善。課題とされているエレクトロニクス事業は売上高2兆5,842億円、営業損益△1,373億円(いずれも第1~第2四半期累計ベース)だった。
同日、報道関係者向けに説明を行った代表執行役EVP CFOの吉田憲一郎氏によれば、「エレクトロニクス事業の構造改革の成果は出始めていると感じている」と、同事業が収益性改善に向けた明るい兆しをみせていることを強調した。
●中国のモバイル市場向けには専用モデルの開発を当面凍結する
セグメント別業績を細かくみていくと、まずMC分野においては、前述の営業権の減損損失1,760億円を計上したことで、営業損益が大幅に悪化した。ただし、売上高についても7月時点の見通しより100億円下方修正となっている。これは、主に中国市場での販売台数減少によるもので、2014年度通期での販売台数見通しは7月時点で4,300万台だったものが、今回4,100万台とされた。
競争激化が続く中国市場についてソニーでは展開を大幅縮小する方針を示しているが、この点について吉田氏は「大きな市場である中国について、大幅縮小して良いのかという議論は社内でもあった」と述べるとともに、将来的に再注力することを否定するものではないとコメント。なお、説明会には11月16日付でソニーモバイルコミュニケーションズの代表取締役社長兼CEOに就任する十時裕樹氏も出席。ソニー代表執行役兼取締役CEOである平井一夫社長から十時氏が課されたミッションは、「商品力の強化と収益力の改善だ」という。中国市場について、現状は中国専用モデルの開発を凍結しSIMフリーモデルなどで展開する方針だが、機会を窺ってまた注力市場とする可能性もあることに言及した。
○テレビは2003年以来となる2四半期続けての黒字化
続いて、ホームエンタテインメント&サウンド分野についての説明も行われた。
同分野は、エレクトロニクス事業の収益改善に向けてキーとなるテレビ事業が含まれている。テレビ事業単独での売上高は1,997億円、営業利益は49億円となっており、売上高2,050億円、営業利益79億円を計上した第1四半期に続いて黒字となった。2四半期続けての黒字は2003年以来といい、吉田氏は「製造コスト、宣伝広告費の削減に加えて、販売店の固定費削減が大きく寄与した」と収益構造改善に向けた取り組みが成功したことを強調。数を追う路線から「売れないところには投入しない」という方針も黒字化を促進した。吉田氏は「10年続けて(通期で)赤字だった事業なので、引き続き慎重に見守る必要がある」と、通期での黒字化達成に向けて注意深い舵取りが必要との姿勢を示した。
2014年度通期の見通しは、7兆8,000億円の売上高及び営業収入、1,400億円の営業利益、1,300億円の税引前利益を見込み、事業構造改革費用の計上などにより最終損益(当社株主に帰属する当期純利益)は△500億円(損失)を見込む。