実現率1%の邦画界にまつわる、映画監督と原作者の本音と諸事情 - 深川栄洋監督×原作・加納朋子
●年間約400本の中でヒット作は僅少
新垣結衣が初めて母親役を演じた映画『トワイライト ささらさや』が、11月8日 から公開をスタートした。大泉洋演じる落語家・ユウタロウは突然の事故で他界。残された妻・サヤ(新垣)は、生まれたばかりの息子・ユウスケを跡継ぎにしようとする義父の目から逃れるために、"ささら"の街に移り住む。ユウタロウは頼りないサヤが心配でしょうがないため成仏できず、ついには周囲の人に乗り移って彼女の支えになろうとするが…。
原作は、ファンタジーミステリー小説『ささら さや』(幻冬舎)。ところが、主人公の職業がサラリーマンから落語家に変更されていたり、ユウタロウの父親像をより詳細に描いたりと、映画化にはかなりの変更点が加えられている。昨今の邦画界は、漫画や小説を原作とする作品がほとんど。中には原作者の意向とそぐわないために、白紙になったという話も度々耳にする。
果たして、本作にはどのような納得と妥協が繰り返され、そしてどれだけのハードルが待ち受けていたのか。メガホンをとった深川栄洋監督と原作者である作家の加納朋子氏を招き、作品を通して感じたことを含め、映画監督と原作者の立場から"実現率1%の世界"の本音を包み隠さず語ってもらった。