競争力強化のため、今、本当に有効な業務改善・改革の手法とは? (1) 課題抽出は「業務の見える化」から
2014年12月2日にパレスサイドビル(東京都千代田区)で開催される「実践型ビジネスプロセス改革セミナー~キーパーソンが語る、業務改善の手法とIT活用~」では、複雑化した業務プロセスを見直し、リソースの有効活用を実現する手法と、ニーズへの即応力を育て、企業の競争力強化につながるビジネスプロセス改革について語られる。今回と次回、2回にわたって、その概要をお届けしよう。
○企業は業務レベルで環境の変化に対応できているのだろうか?
グローバル化の波やソーシャル/モバイルの普及によって、ビジネス環境と顧客ニーズが急速かつダイナミックに変化している。
企業にとって、こうした環境の変化に即応し、競争力を高めながら最適な事業計画・オペレーションの遂行を目指すべきだが、そこには多くの課題が突きつけられている。
1.情報を早期に把握できない
2.国ごと(法人ごと)に業務オペレーションがバラバラ
3.事業や組織再編、M&Aなどによって、頻繁に担当や業務フローの変更が必要
4.グループ間でのルールが無く、数字の根拠が希薄
5.業務に必要なシステムが多数存在し、一連のプロセスが分断
上記は一例ではあるが、もし、貴社が何らかの課題を抱えていて、改善したいと考えているなら、まずはその課題の根源を探る必要がある。システムの問題だと考えていることも、実は業務のやり方を変えるだけで、大きな改善効果を生むケースも少なくはない。
○業務改善を行うためには、まず業務の見える化をするところから始めよう
業務の見える化を行う方法として、コンサルティング会社に依頼して大規模な調査・分析をかけるのも一つの手段であるが、ここでは小規模から始められるBPEC(Business Process Engineering Cycle)という手法をご紹介しよう。BPECを活用すると、社員の業務状況をヒアリングなどで収集し、ツールに入力するだけで、どのステータスのスタッフが、どんな業務を、どれだけの時間をかけて行っているかをグラフで表示できるようになる。それにより、それぞれの業務の負荷や、そこにかけているコストが適性なのかを判断が可能になる。もし優先度の低い業務に、多くのリソースが割かれていると分かれば、その業務の周辺を見直し、人員の配置を換える、システムによる自動化を図る、といった対策の立て方も見えてくるというわけだ。このBPECについては、12月のセミナーでBPECの開発元であるBPデザイナーズから、BPECの詳しい説明が導入事例を交えて紹介される予定である。
○大企業ほど山積されているプロセスの課題を解決するBPM
現状の見える化と課題が具体化したら、いよいよビジネスプロセス改革の計画・実践段階となるのだが、こうした一連の業務管理手法として注目されているのが、BPM(Business Process Management)である。
グローバル規模でエンタープライズ情報管理ソリューションを展開するOpenTextでは、BPMを、「経営目標に従って、継続的な業務改善を実行するための業務管理手法」と説明している。業務改善計画の策定と実施、効果測定とそこで見えてきた課題への対応というPDCAのサイクルを常に回し続けることで、企業は時代に対応できる競争力が得られる。マネジメントレベルの課題から部門レベルの業務プロセスの最適化まで、それぞれのレベルで効果を発揮するのが、BPMという管理手法なのである。
しかし現実問題として、組織、システム、ルールがおのおの細分化・分断されているとプロセスはつながらない。BPMを実践しようにも先のPDCAサイクルを回すことが困難となり、結果として、部門や一部のプロセスの改善はできても、経営目標に直結するような形での改善にまでは至らないことも多い。社内に複数のシステムが乱立し、それぞれが連携せずに別々で管理、運用されている事例がその代表格だ。例えば市場を予測するマーケティング部門や、受注業務を行う営業部門、商品をつくる生産部門が持つ情報やプロセスが連携していなければ、深刻な在庫不足や過剰生産を招きかねない。
さらに日本全国・世界各国に拠点を持つ場合はより複雑化し、スピーディーに生産調整を行うことも困難だろう。こうした問題を解決するために、場当たり的なシステム連携や業務プロセスの変更を繰り返していると、システム、業務プロセスはよりいっそう複雑化し、全体を俯瞰することも、迅速に計画を修正することもできなくなってしまう。事業再編や買収・統合を繰り返して業容を広げてきた大企業ほど、こうした問題は根深い。
かといって、全社のシステムや業務プロセスを一気に統一するには、膨大なコストと時間がかかってしまう。ではどうしたらいいのだろうか? ――― 次回はこれらの課題を解決し、ビジネスプロセス改革の切り札ともなりえるソリューションの概要をご紹介する。