月額3,000円前後の格安スマホはどこがおトクなのか? - 2014年11月版
"格安SIM"を提供するMVNO各社のサービス競争が盛況だ。今秋、月額利用料金を据え置いてデータ通信容量を倍増する、お得なキャンペーンが相次いで発表された。そこで本稿では、月額3,000円前後で利用できる格安SIMサービスのうち、スマートフォンとセットで販売されているサービスの最新情報をお伝えしていこう。
○それはIIJから始まった
本稿で紹介するのは、「LTEによる高速通信」と「090/080で始まる電話番号での音声発信」が可能な、月額3,000円前後のスマートフォン付き格安SIMサービス。どのプランでもMNPによる転入に対応しており、20円/30秒で音声通話できる。
今秋、通信容量の倍増キャンペーンを他社に先駆けて仕掛けたのはIIJ(インターネットイニシアティブ)がSIMを提供するサービスIIJmioである。このIIJグループに属するプロバイダー「ハイホー」が提供する「hi-ho LTE typeD ミニマムスタートwith G2 mini【LTE】」なら、LGエレクトロニクス社のAndroid 4.4スマートフォン「LG G2 mini」が利用可能だ。月額3,219円(税込、以下同)で、月に2GBまでのLTE通信が利用できる。
月額3,219円の内訳には、24回払いの端末割賦金を含んでいる。同社のオンラインサイトにて販売している。
BIGLOBEがSIMを提供する「BIGLOBE LTE/3G」でも、前述のLG G2 miniが利用できる。エントリープランの場合、月額3,219円の運用コストで月に2GBまでLTE通信が利用可能だ(以前は通信容量が1GBだったが、11月1日より2GBに増量された)。月額3,219円の内訳には、24回払いの端末割賦金を含む。なお、専用アプリ「BIGLOBEでんわ」を通して音声発信すれば、国内30秒/10円の通話料で利用できる。同社のオンラインサイトにて販売している。
今秋から、楽天グループが「楽天モバイル」としてMVNO事業に参入した。
同社がSIMを提供するサービスではASUS社のAndroid 4.4スマートフォン「ASUS ZenFone 5」が利用可能。端末代金は28,512円で、分割払いには対応していない。LTEに対応したプランは2.1GBパック、4GBパック、7GBパックを用意した。2.1GBパックの月額料金は1,728円となっている。(仮に端末を24カ月で分割払いしたと仮定するなら、月額料金は端末割賦金1,188円+音声通話月額料金1,728円=2,916円になると考えられる)
●日本通信、So-net、U-NEXT比較
日本通信(b-mobile)がSIMを提供するサービスでも、前述のLGエレクトロニクス製 LG G2 miniが利用できる。通信容量は1、2、3、7GBから選べる仕様。1GBを選んだ場合の月額料金は3,586円で、内訳は端末割賦金1,534円+音声通話月額料金1,685円+1GBの通信パック367円。1年継続オプションを申し込めば、毎月1GBが無料で追加される。
オプションで留守番電話サービスなども利用できる。同社のオンラインサイトにて販売している。
So-netがSIMを提供する「So-net モバイル LTE スマホセット2480」では、ZTE社のAndroid 4.4スマートフォン「Blade Vec 4G」が利用できる。端末価格は32,160円だが、24回の分割払いを選択すると毎月の割賦金が1340円から637円に減額される。これにより、月額2,678円で月に1.5GBまでのLTE通信が利用できる。スマホ割賦購入割引キャンペーンは、11月1日から11月30日まで実施する予定。
U-NEXTが提供するU-mobileでは、Huawei社のAndroid 4.3スマートフォン「Ascend(アセンド)G6」を用意。端末代金は32,184円で、1,341円×24回払いに対応する。
例えば、月の通信容量が1GBまでの料金プラン「通話プラス1GB」なら、基本使用料1,706円+端末割賦金1,341円=3,047円/ 月で利用できる。
これまでに本稿で紹介したサービスは、すべてNTTドコモの回線を利用したものだった。最後に紹介するケイ・オプティコムのサービスmineoは、KDDI(au)の回線を利用したものとなる。端末はシャープの「AQUOS SERIE SHL25」と、京セラの「DIGNO M KYL22」を用意。AQUOS SERIEを選択した場合はやや高額になるが、DIGNO Mを選択した場合は月額3,877円で月に1GBまでのLTE通信が利用できる(通信容量は1GB~3GBから選択することが可)。DIGNO Mの端末代金は51,840円で、毎月2,160円×24カ月支払う仕組み。基本データ容量内の最大速度は「au 4G LTE」(75Mbps)相当となる。同社のオンラインサイトにて販売している。
●楽天モバイルはどこまで戦えるか
本稿では月額3,000円前後で利用できる格安SIMサービスのうち、スマホとセット販売されているサービスの最新情報をお伝えした。1社が割安なプランを打ち出すと、すぐに他社が追随するというのがこの業界の常識。現在は3,000~3,500円の価格帯でいかに差別化要素を出していくか、各社が苦心している様子がうかがえる。MVNO群雄割拠の時代だ。
提供されるスマートフォンに注目してみると、3社がLGエレクトロニクスの「LG G2 mini」を使用している。4.7インチの同端末なら、弱年齢層やシニア層などこれまでスマートフォンに馴染みのなかった世代にも使いやすいという配慮だろう。MVNOで提供されるスマホというとエントリー機のイメージが強いが、「ASUS ZenFone 5」のようなコストパフォーマンスの高いSIMフリー端末が登場したことで、今後はその流れが変わるかもしれない。参入の遅れた楽天モバイルだが、ZenFone 5を武器にどこまで戦えるだろうか。
KDDI(au)の回線を利用したMVNOは、現状ではmineoの1択となる。まだ、利用料金の面でも通信速度の面でも満足のいくサービスが提供できていない。WiMAX 2+の対応や、通信速度の引き上げなど、今後のサービス品質の向上に期待したい。
NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3キャリアが提供する料金プランに比べて、はるかに安いコストで運用できるMVNO各社のサービス。今秋の”データ増量合戦”で、さらにお得感が増したように感じられる。毎月の支払額を下げたいと思っている人は、これらのプランを検討してみると良いだろう。
(記事提供: AndroWire編集部)