鈴木拡樹、時代劇×特撮に挑戦!?『死神遣いの事件帖』は新しい世界観
●特撮のプロの方が時代劇に挑戦している
映画&舞台を完全連動させたプロジェクト「東映ムビ×ステ」。昨年公開、舞台版も上演された第1弾『GOZEN』シリーズに続く第2弾として、映画『死神遣いの事件帖 -傀儡夜曲-』(6月12日公開)、舞台『死神遣いの事件帖 -鎮魂侠曲-』(7〜8月上演)が決定した。
映画では江戸市中で探偵業を営む久坂幻士郎(鈴木拡樹)が主人公に。豊臣家に仕えた高名な傀儡子の息子で、死神・十蘭(安井謙太郎)と契約関係にある『死神遣い』でもある幻士郎は、吉原の大遊廓で発生した“遊女連続殺人事件”に関わっていく。今回は主演の鈴木にインタビューし、作品の印象や撮影中の様子などについて話を聞いた。
○■この先につながるように
――今回「東映ムビ×ステ」の第2弾ということで、まず企画を聞いたときはどのような印象でしたか?
矢崎(広)くんのように知っているメンバーも出ていたので、「ムビ×ステ」の存在は知っていました。だからこそ、第1弾に負けないように、そしてこの先につながるようにしなければと思いました。第2弾というのは、第1弾の成功あってこそなので、引き継ぐつもりで参加しようと決心しました。
また、同じグループ会社の部署違いでやっているというのが、面白い企画だなと思いました。顔合わせの日にも、普段はお仕事上でそんなに絡むことがないとおっしゃっていたので、新しい感覚だなと。
――作品にもどこか東映さんの特撮の雰囲気も漂っていますよね。
それが「ムビ×ステ」としての売りの一つなのかなとも思います。特撮のプロの方が時代劇に挑戦しているというのが、面白い。僕も以前ゲストで『仮面ライダーディケイド』に出させていただいたんですが、現場の空気が特別なんですよ。爆破シーンがあったりもするし、特撮の現場でしか味わえないような非日常的な感覚があり、ワクワクします。
――時代劇という意味でも非日常的な感覚はありましたか?
そうですね。
ただ、単純に時代劇と特撮を足したというだけのものじゃない、複雑さのある作品です。撮影中も思っていましたが、完成作を見ても新しい世界観で、他の作品にはない、色々なジャンルの混ざり方をしていると思いました。歴史物としても、旗本や水野組が出たりと、しっかり徳川三代目の時代を描いていて、史実に沿った上でのif的なストーリーになっているのかなと思います。――鈴木さんもこれまで色々な時代を描く作品に出られていて、鈴木さんの出演作をつなげると日本の歴史ができるのではないかと…。
そこも目指してみると面白いかもしれないですね(笑)。
――ご自身で好きなのはどの時代なんですか?
1番好きなのは戦国時代です。この仕事を始めてからより深く勉強するようになったので、今になってやっぱり歴史が楽しいなと思います。学生時代は「へ~」くらいにしか聞いてなかったです(笑)。
いろんな説があるというのが歴史の楽しさで、調べれば調べるほど面白い。同じ時代背景で同じ役でも、作品によって描き方が変わってきて、全く違う人生を送っていたりするのも、演じる側の魅力です。
――今回は江戸時代となりますが、今までと違いなどはありましたか?
今回も刀を使ったアクションもありますが、1番違いを感じたのは京都の撮影所。町並みが目の前に存在したので、自分もタイムスリップしたような気持ちになれました。撮影中も、旅行している皆さんが見てらっしゃるんですよね。見学の方が喋っちゃってNGになったり(笑)。そういう要素も込みでいい経験でした。
●安井謙太郎は「安心」、崎山つばさは「いつも新鮮」
――共演者の方の印象も伺えれば。
死神・十蘭役の安井さんとは初共演で相棒役となりました。
安井くんはとてもしゃべりやすいタイプで、顔を合わせた瞬間から安心しました。撮影に入るまでに結構フランクな話もできていたので、一緒にいる相棒として、何の不安もありませんでした。お芝居の面でも、十蘭が人形になっているシーンがあったんですが、ずっと現場にいて声を出してくれていました。画面上には安井くん本人が映っていない瞬間もあるんですけど、僕は常に一緒にいたという感覚です。あとは、“十蘭人形”が現場で人気過ぎて、「僕のこともちゃんと見てよ」と嫉妬していました(笑)。
――安井さんがメンバーとなっている7ORDERは現在舞台でも活躍されていますが、そういう話題も出たりしましたか?
撮影中も安井くんが他のメンバーのお話をしていて、お芝居の方面でも力を入れるグループになるのかなと思いました。今後いろんな作品で皆さんを観れるのではないかと思って、僕も楽しみです。
――侠客のリーダー・庄司新之助役の崎山つばささんとはもう何回も共演されていると思いますが、新たな発見などはありましたか?
共演回数は多いんですが、いつも新鮮なんですよ。ここ最近は1年に1度共演するという感覚で、毎回1年間の成長をすごく感じます。しっかりしているから、年齢的に近いように思ってしまう瞬間もあるけど、まだまだ若いから伸びしろがあるんだなと実感します。
――8月には東京ドーム(「刀剣乱舞-ONLINE-」五周年記念 「刀剣乱舞 大演練」)でも一緒のステージに立つことになりますね。
せっかく一緒にできる機会ですから、たくさん同じシーンで絡めたら嬉しいなと思ってます。
○■ホッカイロを配りがち?
――ヒロイン・お藤を演じた乃木坂46の鈴木絢音さんは今回が映画初出演でしたが、どのような印象でしたか?
常に自然体ですね。普段から自然体なんですけど、その状態のまま、お芝居に入った瞬間にテンションが一つ二つ上がるところが見えて。現場でも、監督とよく話されていたのを見かけましたし、完成作を見ても、クセになるキャラクターだなと思いました。
――高田聖子さんも初共演でしょうか? 舞台『髑髏城の七人 Season月』では別々のチームで出演されていて。
観劇に行った時に挨拶はしていたんですけど、お芝居を一緒にやるのは初でしたね。長い期間『月髑髏』の稽古をやっていたので、同じ舞台に出ている感覚ではあったんですが、念願の共演で(笑)。今回は冒頭から絡ませていただいたので、楽しかったです。
――改めて撮影中を思い返して、何か現場で流行っていたことや印象深かったことはありますか?
結構寒い時期に撮影していたので、どこにホッカイロを貼ればあったかいか、みんな研究してました。京都の撮影所の方々にとっては毎年のことなので、「お腹の下あたりに貼るといいよ」と教えていただいたり、とても詳しかったです。最初にお腹にホッカイロを貼っておくことによって、トイレに行く回数が減るらしくて。そんなコツがあるんですね。
――鈴木さんもホッカイロを配っていたというエピソードを聞いたのですが、『映画 刀剣乱舞』の舞台挨拶取材でもホッカイロを配っていたことが話題になっていた覚えがあります。
ホッカイロ、配りがちですね(笑)。寒さに怯えてるんです(笑)。
――それでは、最後に公開を楽しみに待ってる方へのメッセージをいただければ。
楽しみにいていただいた方にとっては、公開が少し延期となってしまいましたが、しっかりと「ムビ×ステ」の第2弾を撮ってきましたので、ぜひ見ていただきたいです。この映画でしか見られない世界が広がっています。アクションも時代劇も存分に楽しんでください。
■鈴木拡樹
1985年6月4日生まれ、大阪府出身。2007年、テレビドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビューし、2008年、『最遊記歌劇伝 -Go to the West-』で初主演を果たす。以来舞台『弱虫ペダル』(12~)シリーズ、舞台『刀剣乱舞』(16~)シリーズなどで活躍し、2.5次元界を牽引。近年は舞台『髑髏城の七人 Season月 下弦の月』(17~18)、『No.9 ー不滅の旋律ー』(18~19)、『どろろ』(19年)、ドラマ『虫籠の錠前』『カフカの東京絶望日記』(19年)、『映画 刀剣乱舞』(19年)、映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(20年)などに出演する。