2014年11月19日 12:52
中国とのFTA締結への動きはオーストラリア経済の追い風に
オーストラリアのアボット首相と中国の習近平国家主席は17日、自由貿易協定(FTA)締結に向けての覚書を交わしました。2005年に始まった両政府間の交渉が、約10年を経て合意に至り、アボット首相は会談後の声明において「歴史的協定だ」と強調しました。今回合意された枠組みが完全に実施されれば、4年後にはオーストラリアの中国向け輸出の95%で関税が撤廃されると見られており、これにより中国向け輸出の伸びが期待されています。
FTAの対象として、オーストラリアの主要輸出品目である資源・エネルギーのほか、農産物、乳児用などの粉ミルク、牛肉、魚介類、ワインなどの食料品に対する関税撤廃が予定されています。オーストラリアでは近年、資源関連の投資ブームが終わり、今後の継続的な経済成長には、農業や製造業を含む非鉱業部門の投資拡大が求められることから、今回の幅広い品目に対する関税撤廃が、資源輸出に依存する経済構造からの脱却を後押しすると見られています。また、この他にも、法律や金融、教育などのサービス業を担うオーストラリア企業の中国向けビジネスに対する優遇措置や、中国の民間企業のオーストラリア向け投資に際しての審査基準の大幅な緩和なども盛り込まれており、両国間のビジネス関係の強化が期待されます。