2014年11月21日 10:30
アンタレス・ロケットの打ち上げ失敗とソ連からやってきたロケットエンジン (2) 40年前に生産されたソ連製ロケットエンジンNK-33
余談だが、当時は日本にもロシアから購入の打診が来ており、中止されたGXロケットの第1段に使うという構想もあったという。
事故後の報道では、AJ26はNK-33を「改良」したエンジンだとするものもあったが、実際のところNK-33には、アンタレスに装着するために電気系統などに手を入れ、またエンジンを振って推力の方向を変えるためのジンバル機構を装着するなどの改修が行われただけで、「改良」という言葉から連想されるような、例えば米国の技術でエンジンの性能を向上させる、といったようなことは行われていない。つまりNK-33をそのまま使っているといってよい。
40年来のエンジンをそのまま使うということに対しては、その間に部品が腐食するなど、劣化しているのではないかという懸念がなされてきた。40年の間の保管状態がどの程度のものであったかは明らかにはなっていないが、おそらく万全ではなかったはずである。
また、今回の事故との関連は不明だが、2011年6月9日にはAJ26の燃焼試験中に、燃料漏れによる火災事故が起きている。さらに今年5月22日には試験中に爆発し、エンジンが全損する事故も起きている。後者の事故に関する詳細は発表されていないが、やはりエンジンに問題があったとされる。