次世代APU「Carrizo」の概要を公開、初のHSA 1.0対応APUに - 大原雄介のAMD Future of Computing 2014レポート
Carrizoに関するニュースそのものはすでにこちらでご紹介した通りで、プレスリリースも出ているのだが、まとめると2015年前半にCarrizoとCarrizo-Lの2種類の製品が登場するという話だ。Carrizoというコード名そのものは以前から知られていたが、若干ながら新しい情報も出てきた(Photo01)。
さて、スライド(Photo02)をみると、微妙にCarrizoとCarrizo-Lの話が混じっている。このあたりは以下のようにまとめることができる。
Carrizo-LはBeemaの延長であり、実は大きな違いはない。Carrizo-LはHSAに関してはBeemaと同程度の対応になる。
Carrizoのほうはロードマップにある通り、Excavatorベースのプロセッサとなる。Carrizo-LはPuma+。
CarrizoとCarrizo-Lは共通のパッケージとなる。逆にいえば、Carrizoの世代では1チップの製品のみが提供され、もはやFCHを外付けとする2チップのソリューションは提供されない。
Carrizoに搭載されるNext Generation GCNとは、TongaコアのRadeonと同様に、GPU Compute Context SwitchingとかGPU Graphics Pre-emptionを搭載したものになる。これらはHSA 1.0のSpecificationとして要求されているもので、なのでCarrizoは初めてのHSA 1.0対応APUとなる。
これだけだとあまり新情報というほどの話はないのだが、AMDの省電力技術に関する展望(Photo03)と絡めた説明で、もう少し細かいことがわかった。
Photo04が現状の省電力技術のロードマップだが、ちょっとつぶれてしまったので拡大したのがPhoto05である。
ここで当初はCarrizoの世代に搭載されると予測されていた統合電圧レギュレータが、2015年以降にシフトしてしまっているのがわかる。
これに関しては、AMDも予想以上に時間が掛かっているのを認めつつ、実際には次のような問題があるとする。
どの種類の電圧レギュレータを実装すべきか(Buck ConverterかLinear Converterか)は、アプリケーションによって変わってくる
特にBuck Converterの場合、インダクタンス(コイル)とかキャパシタ(コンデンサ)といった受動部品を作りこむ必要があるが、特に消費電力の大きな製品では、これらの受動部品も必然的に大型化するため、実装コストが大幅に上がってしまう
実際、統合電圧レギュレータを搭載したと説明するIntelにしても、これを実装しているのは省電力の一部のSoC製品にとどまっている。Carrizoではローエンドからハイエンドまでパッケージを統一し、マザーボードに互換性を持たせようとしている。したがって、もしCarrizo-Lで統合レギュレータを実装するなら、Carrizoにも統合レギュレータを搭載しなくてはならず、こちらが難しいから逆にCarrizo-Lでも見送ったと思われる。
そのほかの特徴や具体的な動作周波数、性能に関しては、今回は一切明らかにされなかった。このあたりの一端は、ISSCCであるいは期待できるかもしれないといったところだ。