東京都・表参道でリアルタイム3Dを駆使したプロジェクション作品を紹介
同展は、本来は軍事用に開発され、現在では主にゲームなどに用いられているリアルタイム3DCGを駆使し、仮想世界を取り込んだ作品を制作するアーティスト、ジョン・ジェラードの日本初個展。大型のプロジェクション作品「Sow Farm (near Libbey, Oklahoma) 2009」と、映像ディスプレイ作品「Sunspot Drawing (Guantanamo City) 2012」を展示している。
先の「Sow Farm」は、大量の分娩に従事する雌豚が収容された、大規模ながら目に見えない、アメリカ中西部に実在する農畜産業体が描写されている。畜舎の周囲を360度ゆっくりと旋回するカメラは、24時間365日のサイクルで、畜舎のある風景を映し出しており、地理的に孤絶した場所で稼働している農畜産業の姿を、数千枚の写真からなるバーチャル3D映像に仕立てている。また、「Sunspot Drawing」は、キューバ・グアンタナモのとある道に夜明けから日暮れまで、作家自身が虫眼鏡を手持ちで掲げつづけているシミュレーション作品だ。
なお、ジョン・ジェラードは1974年アイルランド・ダブリン生まれのアーティスト。オックスフォード大学で美術・絵画の学士号を、シカゴ美術館付属美術大学で博士号を取得し、現在はウィーンとダブリンを行き来しながら制作を続けている。第53回ヴェネチア・ビエンナーレ(2009年)での個展を含め、これまで国際的に展覧会が開催されている。